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中央ニュース

2025/01/14

3職種で意見交換開始 労務費基準で論点提示

 国土交通省は、改正建設業法に基づく労務費の基準の作成に向けて、鉄筋と型枠、住宅の3職種で先行して元請け建設業団体、専門工事業団体との意見交換会を2024年末までに開始した。設計労務単価に歩掛かりを乗じて基準を定めるという基本方針を確認。労務費の基準をベースに、現場条件に応じて契約当事者間で交渉・補正できるようにするとの論点も示された。
 労務費の基準は、職種別・地域別に作成するとの方向性をこれまでに示している。改正法を全面施行する12月を見据え、準備の整った職種から意見交換を実施。議論を踏まえ、中央建設業審議会で基準を作成・勧告する。
 まずは、土木・建築の双方に関係し、労務単価や歩掛かりといった検討材料のそろっている鉄筋・型枠について職種別意見交換会を設置。鉄筋職種には全国鉄筋工事業協会と全国圧接業協同組合連合会、型枠職種には日本型枠工事業協会が参加する。
 住宅関係職種についても、一人親方が多いこと、個人が発注者となることなどの特殊性を踏まえ、意見交換会を先行して設けることにした。ハウスメーカーで構成する住宅生産団体連合会と一人親方が加入している全国建設労働組合総連合、全国住宅産業地域活性化協議会、全国工務店協会が参加する。
 いずれの意見交換会にも、日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会が元請けの立場から参加。建設産業専門団体連合会も加わる。
 これまでに意見交換会で提示された主要な論点を見ると、労務費の基準(素案)の作成に向けた議論では、公共・民間を問わず、設計労務単価に歩掛かりを乗じて単位施工当たりの額を計算するという方針を確認した。細分化すると中小企業が使いづらくなるため、労務費の基準をベースとし、個々の工事の条件に応じて「契約当事者間で交渉・補正ができる形で作成すべき」との論点も示された。
 労務費の基準の実効性確保を巡っては、発注者から元請け、下請けまでのサプライチェーン全体で見積書の内訳明示について認識を共有する必要があるとした。見積もりの内訳として、歩掛かりを見せることへの企業の抵抗感を指摘する意見もあり、基準の運用には内訳明示が不可欠なことを業界内で周知していく。
 小規模事業者や一人親方については、材工一体で見積もっていたり、そもそも書面による見積もりの慣習がない例も少なくない。労務費を他の経費から切り分けて見積もるよう周知・徹底すべきとの論点も示された。
 労務費の基準を順守した企業が、競争上不利になる恐れも指摘された。こうしたことがないよう、労務費の内訳明示と適正支払いを国が適切に指導する必要があるとされた。

提供:建通新聞社