厚生労働省と文部科学省は、学校のあっせんを基本とする高卒就職システムの見直しを検討する。現在は教員・生徒のみに開示されている高卒就職情報ウェブ提供サービス(高卒ウェブ)を一般公開したり、就職応募前に学校内で行う校内選考の取りやめなどを考えている。ハローワークに企業が提出する求人票の公開時期を1〜2カ月前倒しすることも検討する。
政府の規制改革推進会議が昨年12月にまとめた答申を踏まえ、2025年度から本格的な検討に入る。
学校が求人企業と高校生をあっせんする現在の高卒就職システムは、高校生が企業の情報を十分に得られないため、ミスマッチが起こりやすく、そのことが高卒就職者の離職率の高さにつながっているとの指摘がある。答申では、成人年齢が18歳に引き下げられたことも踏まえ、高校生が自ら企業情報を取得し、主体的に就職先を判断できる環境を整える。
厚労省は、教員・生徒のみが利用できる高卒ウェブの一般公開について、経済団体、学校、厚労省・文科省でつくる「高等学校就職問題検討会」で25年度中に結論を得る。民間が運営するサイトとの連携などによって、民間職業紹介事業者が求人情報提供サービスに参画することも検討する。
7月1日の求人票公開時期を前倒しすることも検討し、26年度以降の採用選考から導入する。求人票は、求人企業が毎年6月1日以降に指定校求人と公開求人をハローワークに提出し、7月1日から生徒が閲覧する。この公開時期を1〜2カ月前倒しし、求職側の生徒が企業情報を十分に把握した上で応募できるようにする。
また、一部の高校で慣習として実施されている校内選考は、職業選択の自由を妨げるといった理由で、指定校求人以外では行う必要がないことを各学校に周知する。
若年人口の減少によって高卒者の採用は年々厳しさを増している。建設業が採用のターゲットとしてきた工業高校生も、求人倍率が20倍を超える状況が続いている。求人票の公開時期の前倒しなどによって、求職者である高校生は企業情報を得やすくなるが、求人企業は採用活動の前倒しなど、新たな対応が必要になる。
提供:建通新聞社