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2025/01/08

見積書に記載の「必要経費」 社保、安衛、建退共が該当

 国土交通省は、改正建設業法に基づいて建設業者が見積書に内訳明示すべき「適正な施工を確保するために不可欠な経費」の範囲を整理した。法定福利費と安全衛生経費、建設業退職金共済制度の掛金を位置付ける方針で、今後、省令で定める。改正法に基づく労務費確保の規定と合わせて12月までに施行し、適切な見積書を交わす契約慣行を定着させる。
 改正法では建設業者に対し、技能者の賃金原資となる労務費とともに材料費、「適正な施工を確保するために不可欠な経費」を内訳明示した材料費等記載見積書を作成する努力義務を課す。労務費だけでなく、こうした経費についても通常必要とされる額を大きく下回るような見積もりは法違反とされる。
 法定福利費については、これまでも内訳明示した標準見積書を専門工事業団体が作成。2013年度以降、下請けから元請けへの提出を一斉に進めていた。安全衛生経費についても、国交省が23年に安衛対策項目の確認表の作成方法とひな形を提示。24年には標準見積書の作成方法を示すなど、元請け・下請けや民間発注者に適切な見積もりを促していた。
 一方、23年度の調査では、法定福利費を内訳明示した見積書を提出している下請けは全体の59・6%。内訳明示した金額を実際に受け取ったのはこのうち66・2%にとどまっている。
 法定福利費を十分に確保できないと労務費に食い込み、技能者が受け取る賃金の原資が結果的に目減りする実態がある。国交省は、労務費以外に事業主が支払う必要がある人件費を必要経費と位置付け、見積書に記載すべき事項として明確化。こうした見積書を取り交わす契約慣行を徹底するための対策も合わせて検討する。
 法定福利費については、事業主負担分を見積書に明記すべき範囲とする。個人負担分は労務費に含まれることになる。
 建退共掛金については、見積もる側が証紙や電子納付のポイントを購入する場合に必要経費と位置付ける。
 本社経費や利益など企業の継続にかかわる経費も工事原価を構成しているが、下請けに行き渡らせる必要がある経費として必要経費の範囲を明示する。契約慣行の転換に当たっては、規制的な措置だけでなく、官民一体での促進策も検討していく。

提供:建通新聞社