トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2024/12/26

価格転嫁「8割以上で協議」 元請け5団体の調査

 労務費の確保に向けて元請け建設業が価格転嫁に取り組んでいる実態が、国土交通省の調査で分かった。元請けが会員企業の5団体によるフォローアップ調査を国交省が集計したところ、工事を請け負わせる発注側の立場では約7割、工事を受注する立場では取引の約8割で価格転嫁に向けた協議を実施できているという。ただ、協議ができなかったとの回答も約4%あり、国交省は改正建設業法に基づく価格転嫁の協議ルールの浸透を促していく。
 12月23日に開かれた労務費転嫁に関する関係省庁連絡会議で、労務費転嫁の重点業種の一つである建設業の現状を報告した。政府が2023年に作成した労務費転嫁のための価格交渉指針を踏まえた取り組みを説明。既に17団体が指針を踏まえた自主行動計画を策定・改定したという。
 日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、日本道路建設業協会、日本埋立浚渫協会が自主行動計画のフォローアップとして10月に調査した結果を、国交省が集計した。労務費指針について、発注側・受注側それぞれの立場から交渉の実績や反映の程度を聞いた。
 調査の結果、発注者の立場としては約7割の企業が「全て」または「おおむね」下請け業者と価格転嫁協議を実施できていたという。労務費の上昇分については取引の8割程度で反映できていた。
 受注者の立場としても、協議が必要な取引については受発注者のいずれかの立場からの申し出により、8割以上で協議を行うことができた。
 ただし、全体の約4%で、発注者に対して価格転嫁の協議を申し入れることができなかったとの回答もあった。
 このため、国交省は改正建設業法に基づき12月から施行された価格転嫁の協議ルールを積極的に周知する。新たなルールでは、資材価格高騰のリスク情報の事前通知を建設業者の義務とし、発注者には高騰時の誠実な協議の努力義務を課す。建設工事の発注者、受注者、下請けにまたがるサプライチェーン全体で価格転嫁を促進するため、改正法の説明会を工事の受注者、発注者の双方に対して開き、新たな商習慣の定着を促す。
 関係省庁会議では、建設業から受注する立場にある警備業も労務費転嫁の重点業種として取り組み状況を説明。全国警備業協会が協議促進に向け、警備業者向けの警備料金に関する基礎資料をまとめたという。

提供:建通新聞社