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2024/12/25

工期ダンピング対策を促進 受発注者に「ガイドブック」

 国土交通省は、建設業の長時間労働を是正するため、工期に関する受発注者の責務や工期設定で考慮すべき事項を盛り込んだ「適正工期確保ガイドブック」をまとめた。時間外労働の罰則付き上限規制が建設業に適用されたことや、工期ダンピング対策を強化する改正建設業法の成立を受けて、工期に関する法令の要点と対応を改めて整理した。発注者・受注者の双方に対応を促し、適正な工期を協議する際の参考資料として活用してもらう。
 国交省が23年度、民間工事を主な対象に行った調査では、建設企業の3割が「短い工期」「著しく短い工期」で工事を請け負うことが多かったと回答した。4月から適用された時間外労働の罰則付き上限規制を順守し、週休2日制を導入するなど建設業の働き方改革を実現するには、適正工期の確保が欠かせない。
 改正建設業法では、「著しく短い工期」について、これまでの発注者だけでなく、新たに受注者にも禁止する規定を追加。2025年12月までに施行することとしている。受注者から短工期を提案することをけん制し、いわゆる工期ダンピングを防ぐ狙いがある。
 こうした制度改正を踏まえ、ガイドブックでは受発注者の対応をそれぞれ示した。「著しく短い工期」とならないよう、受注者には中央建設業審議会の「工期に関する基準」を踏まえた見積もりを、発注者にはその内容の尊重を求めている。
 適切な工期設定のためのチェックリストも記載。3月に改定した最新の基準に対応し、WBGT値が31以上の猛暑日を不稼働日とすることや、時間外労働規制の順守に必要な経費の反映などを工期全般にわたって考慮すべきとした。工事の準備段階では、物品納入や建設機械の搬入に要する時間も考慮するよう求めている。
 工期変更の実例も列挙した。降雨日が多く、月間の稼動率が著しく低下したり、警察協議の結果、昼間施工から夜間施工に変更となった場合を例示。半導体不足による設備基金の納入遅延や、杭長の見直し、仕上げ段階での前工程の遅延、設計書と現況のずれなども例に挙げた。
 ガイドブックは、25年2月にかけて全国で開催する改正建設業法の説明会で配布する。各地方整備局にも提供し、受発注者に適正工期の確保を働き掛けてもらう。

提供:建通新聞社