国土交通省は12月19日、改正建設業法の第2弾施行分に関する説明会の初回を都内で開いた。オンライン参加を含めると約2000人が参加するなど、受注者・発注者双方から関心が高く、発注者からは特に資材価格高騰時の価格転嫁ルールを巡って質問が集中。不動産・建設経済局の神澤直子建設業政策調整官は、受注者との適切な協議を促すとともに、官民の契約書のひな形となる標準約款の改正の必要性について「年明けから議論を本格化したい」との考えを示した。
改正建設業法に基づき12月13日からは、▽資材価格の高騰時の請負代金の変更方法を契約書に記載▽資材価格の高騰のリスク情報を受注者から発注者に契約前に通知する義務▽資材価格の高騰時、契約書に基づき発注者が誠実に協議に応じる努力義務―といった規定が施行された。
当日は神澤氏が制度の詳細を説明するとともに、建設業者が契約前に通知すべきリスク情報を例示。主要な資材価格の高騰・不足では、「ハリケーンにより、特定原料の世界シェアの大半を持つ工場が被災」「震災復旧のために全国から各職種の職人が必要となっているため、労務費上昇による工期延長や金額変更を求める」といったイメージを示した。
発注者からは、価格高騰時の変更金額の算定方法について、対象となる費用項目の限定や変更上限額の設定が可能か質問が寄せられた。神澤氏は契約書の記載例を示し、変更額について「最低限、協議で定める規定は設けてほしい」と回答。変更額の上限が請負額全体に対して著しく小さいような規定は、実質的に契約変更を認めないこととなり、「建設業法違反の恐れがある」とした。
公共約款で残工事額の1・5%超について転嫁を求めるインフレスライド条項を念頭に、同様の規定を設けた契約を当事者間の合意の下で交わすことは可能とも説明。公共約款、民間約款を含め中央建設業審議会で決定する標準約款について、改正の要否を25年早期に議論すると述べた。
また、法施行より前に契約した工事であっても、12月13日以降に変更契約をする場合は価格高騰時の変更方法を記載する必要があるとした。法施行の直後に契約するような工事についてはリスク情報の事前通知が困難だとし、一律に通知を求めるような運用としないことも説明した。
この他、技術者の2現場兼任を認める規定を巡る質問では、現場代理人の常駐義務は緩和しないことを改めて説明。
特定建設業者、公共工事受注者の努力義務となったICTによる現場管理については、発注者に費用負担を一義的には求めないとしつつ、「実態としては発注者の協力は必要」とも発言。可能な範囲の協力を求めた。
説明会は25年1月以降、大阪、名古屋、札幌、福岡でも開催する。
提供:建通新聞社