公正取引委員会と中小企業庁は12月18日、企業取引研究会を開き、報告書案をまとめた。適切な価格転嫁を新たな商慣習としてサプライチェーン全体に定着させるため、次期通常国会に下請法改正案を提出する。「下請」という用語を改め、政府で検討するのが望ましいとした。
買いたたき規制については、同規制を定める下請法第4条第1項第5号の他に、実効的な価格交渉が確保されるような取引環境を整備。優越的地位の乱用の考え方に当てはめ、優越ガイドラインなどにも事例を示す。
具体的には、給付の費用が変動している際に、下請事業者からの価格協議の申し出に応じない行為や、親事業者が必要な説明を行わない行為、一方的に下請代金を決定する行為などを規制する。
支払い方法については、紙の有価証券である手形を禁止する。電子再建やファクタリングなど金銭以外で支払う場合は、支払期日までに下請代金の満額の現金と引き換えられるものに限り認めることにする。振込手数料を下請事業者に負担させることは下請法上の違反に当たると明記する。
下請法が適用される範囲を決める基準については、現行の資本金基準以外に、従業員数を新たな基準として追加。製造委託などの場合は従業員数300人、役務提供委託などの場合は従業員数100人を基準とする。
下請法の執行については、事業所管省庁が下請法上問題のある行為を指導できる権限を規定することが有益とした。この他、遅延利息や、物流に関する商慣習などについても見直すよう求めた。
提供:建通新聞社