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2024/12/12

技術提案「ST型」の試行 25年度開始へテーマ示す

 国土交通省は、受注者からの技術提案に基づいて仕様や工法の変更を認める技術提案評価「ST型」(仮称)を2025年度から試行する。発注者が標準的な仕様案を設定できる工事のうち、受注者提案による品質向上が期待できるテーマとして、「工期延期のリスク回避」「カーボンニュートラル」などを想定。今後、具体の運用を見据えて対象工事を選定する。
 ST型は、発注者が標準的な仕様案を設定できるが、より価値の高い新技術や資材、機械、工法を受注者が提案できる工事を対象に適用する。技術向上提案の採用に伴い、予定価格の5%程度の金額を上限として契約変更を認める。
 技術提案に当たって設定するテーマ例のうち、「工期延期のリスク回避」では、施工性の高い工法への変更を想定。「安全性の向上」では、交通渋滞や交通事故発生の防止、作業員の危険防止に有効な技術提案を求める。構造物の新設に際して、「点検困難箇所への維持管理性の高い工法等の採用」もテーマとする。
 一方、「カーボンニュートラルに資する工法等の採用」については、脱炭素化への寄与度をあらかじめ評価することが現状では困難なため、当面は施工後の実績評価を想定。脱炭素化につながる工法、資材の一般化を待って技術提案段階での評価を開始し、ST型を適用することになりそうだ。
 ST型による発注方法のイメージもまとめた。技術提案では、競争参加者が提案内容の実施に必要な概算費用も記載する。ただし、入札金額には提案に要する費用を含めず、当初仕様に基づいて入札する。
 発注者は技術向上提案の内容を適格性、実現性の観点から評価し、技術点の一部として総合評価の点数に加算。技術向上提案の採用の可否は、第三者委員会に諮った上で発注者が決める。
 発注者が採用を決定した技術提案については、当初契約後に発注者指示で増額を伴う契約変更を実施。受注者に対しては、提案内容の履行義務が生じることになる。
 ST型は、「総合的に価値の最も高い資材の採用」を求める改正品確法を踏まえた取り組みとなる。工事目的物の設計変更や、高度な施工技術を求める「AT〜V型」とは異なり、あくまで施工上の特定の課題に対する工夫を求める現行の「S型」の、より高度なタイプという位置付けとなる。

提供:建通新聞社