国土交通省は、直轄工事を発注する際、工事規模に応じて競争参加者の等級区分を決める際の目安となる発注標準を見直す。近年の急激な物価上昇を踏まえて現行の1・14倍に引き上げる。これにより、一般土木工事・建築工事の場合、例えばC等級は現行の予定価格6000万円以上3億円未満から、7000万円以上3億4000万円未満となる。2025年度からの適用を想定しており、26年ぶりの見直しとなる。
見直し案では、一般土木・建築工事の場合、全国で事業を展開する企業で構成するA等級は8億2000万円以上、B等級は3億4000万円以上とする。地域企業のうちC等級は7000万円以上で、それ未満がD等級となる。
B等級の工事のうち技術的な難易度が比較的低く、C等級の参加を認める「B+C」は4億9000万円以下、C等級の工事のうち難易度が高くB等級の参加を認める「C+B」は2億4000万円以上とする。
B等級では上限額が8億2000万円未満となり、25年度末まで適用するWTO基準額(8億1000万円)を上回るため、一部のWTO対象工事が競争参加の対象となり得る。
同様に、発注標準を設けているアスファルト舗装はA等級を1億4000万円以上、B等級を6000万円以上、C等級をそれ未満とする。造園はA等級が3000万円以上で、それ未満がB等級。電気設備・暖冷房衛生設備はA等級が2億3000万円以上、B等級が6000万円以上で、それ未満がC等級。
前回、発注標準を見直したのは1999年。今回、建設工事費の高騰を受けて26年ぶりの見直しに踏みきった。建設工事費デフレーターを見ると、2015年度までは0・7%とゆるやかな伸び率だったものの、その後に急騰。20年度から23年度までに14・3%の大きな伸びを示した。
これを受け、6日に開いた「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」で見直し案を提示。特に変化の大きかった20年を基準とし、各等級の金額の14%アップを基本に発注標準を見直した。
一部の委員からは歓迎の声が上がった一方で、A、B、C等級の工事件数のバランスに配慮するよう求める意見が出た。また、発注標準の変更に当たり、従前の等級に残留できる仕組みの継続を求める意見もあった。
国交省は25年度からの適用を見据え、各地方整備局と調整する。
提供:建通新聞社