2024/12/24
全国中小建設業協会 ブロック別意見交換会(6)東北
全国中小建設業協会(全中建、土志田領司会長)は12月6日、発注機関とのブロック別意見交換会を仙台市内のホテルで行った=写真。東北地区で活動している全中建傘下の4団体と合同で、国土交通省の担当官らと意見を交わした。建設業の2024年問題に関して全国的に働き方改革が進む中、中小建設業者にとってはその実感が薄い状況を発注者側に伝えた。
全国6地区で行った意見交換会の最後を飾り、東北ブロックの意見交換会には土志田会長をはじめ、八戸建設業協会(寺下一之会長)、全中建岩手(紀室裕哉支部長)、山形県建築協会(市村清勝会長)、みやぎ中小建設業協会(舩山雅弘会長)の4団体が初めて合同で出席した。発注者側は国土交通省不動産・建設経済局の橋信博入札制度企画指導室長ら本省の担当官と、東北地方整備局、宮城県土木部の担当官が出席した。
土志田会長は「公共事業に依存する中小建設業者にとって、工事の発注量確保が経営に最も重要だ」とあいさつし、平均で85%程度となっている落札率を「95%以上に引き上げてほしい」と発注者側に要望。「先の見通せる予算確保によって、企業が計画的な処遇改善や設備投資に取り組める」と述べた。
中小建設業者の受注の中心は、市町村が発注する工事が多い。国や県の発注工事に比べて受注規模が小さくなることから、工事費の積算方法や週休2日工事、工期の平準化といった働き方改革が、国や県の取り組みとはかけ離れていることを東北の4団体は指摘した。
物価上昇に対応し、国交省は調査基準価格の算定に用いる一般管理費の係数を22年度に改定した。しかし、市町村によってはいまだに新係数を適用していないところがあると4団体は訴え、国や県が指導することを求めた。国交省側も「実勢にあった資材費や一般管理費を予定価格に反映することが重要だ」と述べ、受注後に工事費を見直すスライド条項についても「受注者から協議の申し出があった場合は、誠実に対応するよう市町村に周知していく」と回答した。
市町村の工事では、発注時期がいまだに上半期に集中し、納期が年度末に設定されていることも4団体が指摘。「平準化されている感覚が無い」と訴えた。これに対し国交省側は、繁忙期の工事稼働数を数値化するピークカット指標を取り入れ、自治体ごとの平準化の取り組み状況を注視していく考えを示した。
週休2日工事については制度導入が進んでいるものの、実際の現場では稼働日数が減ることで、工期調整の難しさや経費の上昇につながっていることを4団体は指摘した。その上で、市町村工事でも国の工事のように補正係数を乗じた積算を行うよう、市町村への働きかけを要望した。
(地方建設専門紙の会・建設新聞社)