国土交通省は、改正建設業法に基づき監理・主任技術者の2現場兼任が可能になることを受け、監理技術者制度運用マニュアルを改正する。技術者を兼任とした現場に配置を求められ、遠隔からの指示を現場に伝える「連絡員」については、工事への専任・常駐や、直接的・恒常的な雇用関係を不要とすると規定。ただし、施工管理の最終的な責任は工事を請け負った建設会社が負うことも明記している。
改正建設業法に基づき、12月中旬にも技術者の専任義務の合理化が施行される。既に関連する政省令案を公表しており、請負代金額1億円(建築一式工事の場合は2億円)未満の工事現場に限り、2カ所まで兼任できるとした。人員配置を示す計画書の作成・保存に加え、連絡員の配置やICT機器の活用、現場間の移動時間に関する要件を設けており、マニュアルで詳細を整理する。
兼任の要件として配置が求められる「連絡員」については、工事ごとの常駐・専任は不要とする。同一人物が複数の工事の連絡員を兼任することも、一つの工事に複数の連絡員を配置することも可能。
連絡員の直接・恒常的な雇用関係は求めないため、派遣技術者の活用も可能となる。その一方、若手社員を連絡員として配置し、技術検定に必要な現場の実務経験を積ませる機会とすることもできる。
連絡員が果たす役割としては、工程会議や品質検査が二つの現場で同時に開かれるときに、技術者の遠隔からの指示を現場側に伝えるなど、円滑な施工管理の補助を想定。事故対応も含まれる。
工事途中で請負代金額が1億円以上となった場合、それ以降は兼任を認めず、技術者の専任配置を求めることも明確化。同様に、下請け次数を3次までしか認めないという兼任の要件を工事途中で超えた場合も、それ以降は技術者の専任配置が必要になる。
兼任する2現場間の移動時間は「片道」でおおむね2時間以内とする。自動車など、通常の移動手段を念頭に置く。
施工体制の確認のため、作業員の入退場の遠隔把握に用いるシステムとしては「CCUSまたはCCUSとAPI連携したシステム」の利用が望ましいことを記載。
現場状況を遠隔から確認する機器には、一般的なスマートフォンやタブレット端末、ウェブ会議システムの活用を認める。
専任が不要な工事と専任を要する工事を技術者が兼任することも可能。ただし、この場合も移動時間やICT活用などの要件を満たさなくてはならない。
兼任に当たって作成が求められる人員配置計画書については、マニュアルとは別に今後、参考書式を作成する方針だ。
提供:建通新聞社