国土交通省は、改正入札契約適正化法に基づく適正化指針案をまとめた。公共工事の発注者である中央省庁や地方自治体、特殊法人に対し、受注者の負担軽減のため、建設キャリアアップシステム(CCUS)による施工体制の確認に取り組むよう求める。工事関係書類の簡素化、ASPなどの情報共有システムの導入も盛り込む。12月2日に開いた中央建設業審議会の総会で提示し、大筋で了承を得た。
見直しは、入契法と建設業法、品確法の改正を受けたもの。中建審での議論を経て、12月中の閣議決定を目指す。25年度分の発注工事から適用できるようにする。
公共工事では、下請け契約を締結する全ての工事の受注者に対し、施工体制台帳の作成と発注者への提出が義務付けられている。ただし、今回の法改正で、CCUSなどのシステムを活用して発注者が施工体制を確認できれば、提出が不要となる。これを受け、適正化指針案では公共発注者に対し、CCUSなどを活用した施工体制確認に努めるよう求める。
CCUSの関連では、技能者の育成・確保の観点からも、利用環境の充実に取り組むよう要請。建設業退職金共済の電子申請方式の利用やCCUSによる就労実績報告の活用促進に必要な措置を講じる。
ICTを活用した現場管理の推進も初めて記載。改正建設業法に基づき国交省がまとめるICT活用の指針を踏まえ、施工管理システムの活用促進や、建設業者への助言・指導を公共発注者に求める。
特に、現場の技術者の働き方改革の妨げになっているとされる書類作成業務の負担を軽減するため、工事関係書類の簡素化が必要とする。国交省直轄工事で標準化されているASPなどの情報共有システムの導入も促す。
適正化指針に盛り込む取り組み事項を着実に実施するよう、公共発注者への働き掛けも強める。必要に応じて国交省などが公共発注者に対して入札契約適正化の措置を要請できることを明記。さらに、要請に応じない場合、より踏み込んだ勧告を行えることとする規定を新設する。
改正建設業法・入契法に盛り込まれた資機材高騰時の円滑な価格転嫁ルールを受け、適正化指針でも公共発注者に誠実な協議を求める。予算不足や過去の変更実績がないことを理由に協議に応じない場合は法違反に当たるとする。スライド条項の運用基準の作成・公表も求める。
改正品確法を受け、現場の働き方改革に関連した記載を拡充。週休2日確保に向け、実態に合わせた経費の補正や、施工時期平準化に向けた部局間連携に取り組むとする。
この他、入札契約情報の公表方法を原則インターネットとすることや、繁忙期の解消による平準化の推進工期設定時の猛暑日の考慮についても盛り込む。
提供:建通新聞社