国土交通省は11月29日、強靱(きょうじん)で持続的な上下水道の政策の基本的な方向性を議論する検討会を発足した。冒頭、松原誠上下水道審議官は、「上下水道が今後もその役割を果たし、社会的要請に応えていくためには、これまでの考え方に囚われない柔軟な考え方が必要だ」と考えを述べた上で、「政策の羅針盤になるような報告書を取りまとめたい」とあいさつした。
検討会では、2050年の社会と上下水道の在り方を検討した上で、今後10年程度の政策の方向性を議論。人口減少による収入減や職員の減少、老朽化施設の増加、自然災害の激甚化、脱炭素など、上下水道を取り巻く環境の変化に対応できる政策とする方針だ。2025年6月に中間取りまとめ、25年度中に最終とりまとめを行う。
初会合では、2050年に想定される社会の姿や課題を基に、国交省が論点を提示。提示した論点は、▽持続性▽強靱化▽水質・水循環▽気候変動▽社会経済活動―の五つの観点で分類し、内容や追加すべき論点などについて有識者に意見を求めた。
また、施策の推進に必要な視点として、官民や他分野などとの連携、デジタル技術をはじめとした新技術の開発・導入、人材の確保・教育、規格・仕様などの柔軟な見直し、広域化・分散化、ハードとソフトの組み合わせを挙げた。
有識者からは、特に重要な施設は予期できないリスクにも対応できる、しなやかさが必要とする意見や、経営戦略として撤退する場合は上下一体で考えるべきといった意見が挙がった。
提供:建通新聞社