国土交通省は、直轄港湾工事を対象に、施工やデータ連携、施工管理を自動化する「i−Construction2・0」の具体化を検討する。ICT施工やデータ連携を駆使し、工事全体のマネジメントを高度化する。港湾工事に特有の気象・海象や船舶の通行の影響を最小化し、工事従事者が計画的な休暇を確保できる建設現場の実現を目指す。
i−Con推進に関する既存の委員会を改組し、「港湾におけるi−Construction・インフラDX推進委員会」の初会合を11月26日に開催=写真。国交省港湾局の久保成昭技術企画課長は「将来目指すべき姿を明確にし、新技術を実工事にどう生かすか、体制を含めて示す」と今後の方針を述べた。委員長には岩波光保東京科学大学教授が就いた。
国交省はこの委員会で、既に直轄港湾工事の各工種の大半でICT施工が可能なことを提示。25年度には防波堤の擁壁工や、臨港地区の舗装工、構造物工、土工、地盤会場工など陸上工事でのICT施工導入を予定している。
2030年までの短期目標も示した。施工分野では、ICT活用工事のさらなる適用拡大、出来形管理基準の見直し、衛星測位の実装、潜水作業の見える化に取り組む。
データ連携分野では、施工管理ソフトによる工事書類作成の省力化を打ち出した。3次元モデルの標準化、2次元図面との連動に向け、関連団体との意見交換を通じて適用方法を検討する。積算での自動数量算出、維持管理段階での活用に向けた「資産情報モデル」の構築にも取り組む。
施工管理分野では、ICT活用工事の検査基準の見直しや検査書類の削減を盛った。
35年を見据えた中期目標では、工事全体のマネジメント改善により、計画的な休暇の確保を目指すとした。40年の長期目標には、建設生産・管理プロセス全体のデータ連携による現場の自動化を掲げた。
25年2月に開く次回会合で、中期、長期の目標に向けた取り組み事項を示す。
提供:建通新聞社