2024年度の技術検定における1級1次検定の女性受験者数が、前年度の2・2倍と大幅に増えたことが分かった。合格者は2・6倍となり、伸び率がさらに大きかった。技術検定制度の見直しにより、今年度から学歴・実務経験年数に関わる要件が廃止されたことが影響したと見られる。現場で活躍する女性技術者の拡大に向け、今回の制度見直しが新たな契機となりそうだ。
24年度に1級1次検定を受験した女性は、技術検定の全7種目で合計1万2842人だった。前年度の5725人の2・2倍となった。合格者数は6772人で、2・6倍とさらに大きく増えた。
技術検定制度の見直しは、受験者数・合格者数の長期的な減少を受けて行ったもの。1級1次の受験資格として、学歴に応じて求めていた実務経験年数の要件を廃止。年度末時点で19歳以上であれば受験できるようにした。
これに伴い、若年者を中心に受験者数全体も15万0236人となり、前年度の受験者数の1・5倍へと増加。合格者数も6万2839人と1・5倍に増えた。
ただし、受験者数全体と比べても、女性の受験者数・合格者数の伸び率は際だつ。これにより、受験者全体に占める女性の割合が2・9ポイント増の8・6%、全ての合格者に占める女性の割合が4・7ポイント増の10・8%となった。複数の検定種目で、女性の合格者数が過去最多を記録した。
検定種目別に合格者数を見ると、前年度比で女性の伸び率が大きかったのは管(1280人)の3・4倍。次いで、電気(403人)と電気通信(125人)が2・7倍となった。最も受験者数の多かった土木(2902人)は2・6倍、建築(1734人)と造園(305人)が2・2倍、機械(23人)が1・4倍だった。
■資格取得がモチベーションに
女性の受験者・合格者数が増加した背景には、技術者の人手不足に備え、経営者が事務職員ら現場業務に従事していない女性に幅広く受験を促した可能性を指摘する声もある。
総務省の労働力調査によると、近年は緩和されつつあるものの、働く女性の割合が20歳代後半以降に落ち込む傾向は今も見られる。実務経験が不問となったことで早期の資格取得が可能となり、女性の定着や復職を後押しする効果も期待できる。
未経験を含めて女性の採用に積極的なある電気工事会社の担当者は、女性の受験者・合格者数の増加を受けて「社会の流れとしても当然の結果」と述べた。資格取得が、女性技術者の能力を示す「箔」となり、働くモチベーションにもつながるとの見方を示した。
提供:建通新聞社