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2025/01/07

全国建設業協会地域懇談会・ブロック会議(9)北陸

 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)と北陸地区建設業協会(新潟・富山・石川県建設業協会)と国土交通省の2024年度地域懇談会が10月29日、新潟市中央区で開かれた。事業量の中長期的な公共事業予算や、担い手3法の適切な運用と適正な利潤確保、災害対応できる体制強化といった地域建設業が直面する課題を共有するとともに、歩調を合わせて取り組むことを確認した。
 全建からは奥村会長ら7人、新潟建協から福田勝之会長ら11人、富山が竹内茂会長ら8人、石川は鶴山庄市会長ら6人、オブザーバーとして長野から木下修会長ら2人。国交省からは沓掛敏夫大臣官房技術審議官、高松論北陸地方整備局長ら10人が出席した。
 会に先立ち、福田会長は度重なる自然災害に触れ、「能登半島地震や豪雨災害からの復興、液状化被害からの生活再建が大きな課題。我々を後押しする施策を出し、着実な歩みを進めてほしい」と強く呼び掛けた。また、鶴山会長は「9月の豪雨で心が壊れる状況だった。能登は小河川が多く、土砂崩れにより山の形が変わってしまった。住んでいる人がいる限り、能登の自然も守っていく」と力を込めながら、「未曾有の一大事。これに立ち向かう息の長い戦いになるが、力強い支援をお願いしたい」と話した。国土交通省から堤洋介大臣官房審議官(不動産・建設経済)が「被災地域に寄り添って復旧復興に全力を挙げる。将来にわたって持続可能な建設業へ力を尽くし、地域が抱える課題を受け止めるのが我々の大事な仕事」、沓掛審議官は「今年一番苦労されているのが北陸ブロックの皆さん。被災者でありながら地域の復旧復興を担っていただいている」と労をねぎらうとともに、「働き方改革や処遇改善を進め、予算を確保することも大切であり、発注者も課題を理解しなければならない」との考えを示した。今井会長は官民が課題を共有する重要性を強調し、「安定した経営基盤のためにも社会資本整備は不可欠。長時間労働の是正や、土日一斉休日など業界が一丸となって取り組み、若者に魅力ある建設業にしていきたい」と訴えた。
 要望では、新潟建協が「地域建設業が社会的使命を果たしていくために、事業量が中長期的に見通せる公共事業予算」を提案し、災害対策の必要性・緊急性、建設資機材の価格高騰などを踏まえ、現行の国土強靱化実施中期計画の事業量を大きく上回る予算確保を求めた。また、「完全週休二日の普及」では気象条件を配慮した工期設定や、月単位の週休二日など柔軟に選択できる制度の検討を提起。「除雪オペレーター確保による持続的な除雪体制の確保」については、官民連携による担い手確保に向けた取り組み(省力化・省人化)の重要性を説いた。
 富山建協は「担い手3法の適切な運用と適正な利潤確保」として、設計精度の向上や施工時期の平準化、ダンピング対策など市町村に対する指導、低入札価格調査基準のアップとともに設定範囲の上限撤廃を挙げた。「働き方改革の推進」では資機材の納期を勘案した適正な設定のほか、猛暑日などにおける施工歩掛や労務単価の夏期補正など積算基準の見直し、共通仮設費・現場管理費・一般管理費など必要な経費等の改善などを強く要請した。
 石川建協からは「地域の守り手として災害対応できる体制の強化」に関して、国や地方自治体と建設業界が一体となって、効果的に災害対応できるよう、平時から広域災害時に一元的、包括的に指示できる組織づくりなどの必要性や、重機の位置情報の把握といったICT活用の促進を図るとともに、広域災害に対応できる緊急支援体制の強化検討を求め、「建設人材確保のための環境整備」ではさらなる設計労務単価の引き上げをはじめ、書類の電子申請化や遠隔臨場を拡大するなど業務の効率化を訴えた。
(地方建設専門紙の会・北陸工業新聞社)