日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、会員企業の生産性向上について調査した2023年度フォローアップ報告書をまとめた。人工に対する完成工事高で算出する生産性指標は、前年度と比べ土木が4・3%増、建築が8・0%増といずれも上昇。平均で見ても6・2%伸びた。生産性指標は土木・建築いずれも22年度に低下していたが、23年度に施工高が伸び、上昇に転じた。
日建連は、16年4月に策定した「生産性向上要綱」の成果を把握するため、完成工事高を基に技術者・技能者の1日8時間当たりの施工高を算出し、生産性指標としている。当初は25年度までに会員企業の生産性を「15年度比10%向上」とする目標を定めていたが、20年度時点で目標を達成。25年度までに「20年度比10%向上」の新たな目標を設定している。
23年度の調査結果を見ると、土木は4・3%増の9万7467円/人日、建築は8・0%増の10万0902円/人日といずれも上昇。土木・建築平均でも6・2%増の9万9185円/人日となった。
土木の現場で生産性を向上させるために取り組んでいることとして、「3次元測量」「UAV」「ICT建機」と回答した企業はいずれも90%を上回った。前年度と比べ、「アウトソーシングサービスの活用」と回答した企業が74・0%となり、前年度よりも18ポイント程度増えた。
建築では、「設計・施工一貫方式の受注拡大」と「BIM」を採用する企業が多く、「アウトソーシングの活用」と回答した企業も全体の86・1%に上った。
生産性向上を進める上での課題として、「ICT技術者ら社内人材の不足」を挙げた企業は85・2%と最も多かった。「協力会社の取り組みの遅れ」が前年度比10・1ポイント増の59・1%、「意識改革の遅れ」が9・8ポイント増の55・7%となり、前年度よりも課題と感じる企業が増加した。
発注者への要望としては、建築が「適正工期の確保」で63・6%と最多。土木では「現場条件・施工条件を的確に反映した設計」が51・1%で最も多かった。
提供:建通新聞社