都道府県と政令市で、週休2日交代制工事の採用が大幅に拡大している。国土交通省の調べによると、導入実績のある都道府県・政令市は2023年度の全68団体中25団体から42団体へと増え、全体の6割超となった。庁舎・学校の改築工事や、昼夜間の連続作業を要する工事で採用される例が多い。時間外労働の罰則付き上限規制が建設業に適用された4月以降も、社会的要請の大きな公共工事を円滑に実施するため、導入が進んだと見られる。
週休2日制交代工事は、技術者・技能者が交代しながら4週8休以上の休日を確保する取り組み。国交省が2024年度に発注するモデル工事では、発注者指定・受注者希望のいずれも通期での4週8休(休日率28・5%)以上を必須とし、労務費に1・02、現場管理費率に1・03を乗じて補正。月単位での4週8休を達成すると補正係数を引き上げ、労務費に1・04、現場管理費率に1・03を乗じることとしている。
都道府県では23年度の19団体から、24年度に30団体へと導入団体が増加し、全47団体の63・8%を占めた。導入を検討中とする回答も6団体あった。
政令市では、23年度の6団体が、24年度には12団体へと倍増。全20団体の60%を占めた。検討中は2団体となっている。
自治体発注の工事で週休2日交替制を採用した例を見ると、▽通年の維持管理業務▽庁舎や学校の改築工事▽事前に現場閉所日を設定できない工事▽昼夜間で連続作業を行うなど、現場閉所の困難な工事▽完成時期の制約が厳しい工事▽施工箇所が点在する工事▽社会的要請が特に大きい災害復旧工事―などが挙がった。
自治体からは導入に当たっての課題も聞かれた。主な意見を見ると、「休日取得の確認に手間がかかる」ことから、休日率算出用の様式を作成した自治体もあった。「交替要員を確保できる建設業者がいない」との声も多かった。一方、「特段の課題はない」とする自治体も複数あった。
個別の事例を見ると、名古屋市は23年10月から原則、発注者指定により週休2日交替制工事を実施。23年度に公告した47件全てで4週8休を達成した。建設業界と事前の意見交換を行ったことがスムーズな導入につながったという。
提供:建通新聞社