財務省は、近年の物価上昇を踏まえ、国の発注工事で低入札価格調査の対象となる契約の見直しを検討している。現行の1000万円から基準額を引き上げると、適用対象となる工事の範囲は狭まることになる。合わせて、指名競争入札と、少額随意契約を適用できる基準額もそれぞれ引き上げを視野に検討。引き上げの是非や、その幅を含めて12月20日まで意見を募集している。意見を参考に、2025年1月の財政制度審議会に改正案をはかる。引き上げが決まれば、予算決算会計令を改正し、同年4月からの施行も視野に入る。
現行で、国の発注工事のうち低入札価格調査の対象は予定価格1000万円超となっている。最低入札価格が低入札価格調査基準を下回る場合に、入札者に対して低価格での入札理由や手持ち工事の状況、労務供給の見通し、経営状況などを調査する。
指名競争入札の対象は500万円以下、少額随契の対象は250万円以下。特に少額随契については、1974年の前回改定から50年間、見直しを行っていない。近年の物価上昇に合わせて基準額を引き上げ、随契できる範囲を拡げることで、発注者の業務負担を軽減する狙いもある。
一方、地方自治体の発注工事については、地方自治法施行令で低入札価格調査を規定している。ただし、基準額などは定めておらず、自治体の裁量となっている。指名競争入札の適用範囲についても同様だ。
一方、少額随契に関しては、都道府県・政令市は予決令と同額の250万円以下に限って適用できると規定。その他の市町村は、おおむね半額の130万円が基準額となる。予決令に基づく基準額が見直しされた場合は、総務省も対応を検討することになる。
提供:建通新聞社