国土交通省は、耐震改修促進法で耐震診断を義務付けている建築物の耐震化目標を見直す。学校や病院など不特定多数が利用する「要緊急安全確認大規模建築物」に対象を絞り、耐震性不足の建築物をおおむね解消する時期を現行の「2025年」から「30年」に後ろ倒しする。緊急輸送道路の沿道建築物や防災拠点といった「要安全確認計画記載建築物」については、耐震化率の形で目標を設定せず、耐震性不足の解消状況を棟数でフォローする。
23年度末時点の耐震診断義務付け建築物の耐震化率は71・6%。内訳は、「要緊急」が92・5%、「要安全」が約40・1%となっている。現行の計画では25年までに耐震性不足の建築物を「おおむね解消」させるとしている。
ただ、緊急輸送路沿道の建築物をはじめ、民間が管理する「要安全」の耐震改修は進展が遅く、目標達成が難しい状況にある。全国一律の基準を設けている「要緊急」と、地方自治体による緊急輸送道路の設定状況によって対象施設数が左右される「要安全」をまとめた目標が設定されており、進行管理の難しさも指摘されていた。
そこで、国交省として定める目標は対象を「要緊急」に限定。除却や改築といった対策も反映できるように指標を見直し、耐震性が不足した建築物を30年までにおおむね解消するとの目標を掲げた。
「要安全」については、全国レベルと都道府県別で指定状況を確認する。耐震性不足の建築物の解消状況を、棟数ベースでフォローアップする方針とした。
提供:建通新聞社