国土交通省は、地域の建設業にも参画の容易なPPP・PFI事業「スモールコンセッション」の全国展開に向けて、地方自治体や民間事業者、学識者、金融機関で構成するスモールコンセッションプラットフォーム(仮称)を12月中旬にも立ち上げる。人口減少により増加の見込まれる廃校や空き家といった遊休資産を活用し、地域の課題解決につなげる事業に生かす。
機運醸成のため、官民の関係者を招いて11月12日に開いた「スモールコンセッション“未来創造”フォーラム」で打ち出した。後藤慎一大臣官房審議官は、おおむね10億円未満の事業を念頭に、自治体が既存ストックを取得・保全し、事業運営を民間事業者に委ねるという事業イメージを提示。「まだ発展の余地、可能性を秘めた取り組みだ」と述べ、幅広い関係者にプラットフォームへの参画を呼び掛けた。
政府が6月に決定したPPP/PFI推進アクションプランでは、自治体首長への働き掛けや情報発信を通じ、スモールコンセッションを全国的に普及させるとした。
事業手法は指定管理から施設運営権の設定(コンセッション)を含むPFI事業、賃貸借まで幅広い。周辺のまちづくりと連携させたエリア単位のリノベーションも視野に入れる。
整備する施設としては、これまでの事例を踏まえて▽スポーツ施設▽ホテル・旅館▽サテライトオフィスや研究施設、飲食・物販施設▽移住体験住宅、定住促進住宅を挙げた。
事業化に向けた課題には、自治体や地元の事業者側にPPP/PFIの経験不足や、連携対象となる事業者の不足、煩雑な手続きがある。
国交省はプラットフォームを通じて先進事例をまとめ、事業促進のための事例集・手引きを作成する。受発注者間や、事業者間の連携も促進し、案件形成を後押しする。事業性に関する聞き取りや、現場視察なども予定している。
フォーラムでは、東洋大学の根本祐二PPP研究センター長が講演し、「スモールコンセッションは地方創生の観点からも期待される」と発言。建築から50年程度が経つ公営借家が約41万戸あることや、廃校校舎が今後増加することを示し、対象となり得る遊休資産が大量にあるとした。
提供:建通新聞社