国土交通省の調べによると、市区町村の入札契約関係事務の適正化に向けて、首長に直接対話などの働き掛けを行った都道府県は、全体の約4分の1に当たる12団体だった。埼玉県の事務所長が、週休2日工事の進んでいない市町村の首長を訪問し、働き方改革を促す例などもあり、一定の効果を上げているという。国交省は、12月にかけて全国で開くブロック監理課長等会議で、都道府県の入札契約部署の課長らにさらなる実施を呼び掛ける。
都道府県へのアンケートでは、全47団体が市区町村に対して何らかの働き掛けを行っていた。「首長との対話」の他、「担当部局への個別訪問」を全体の46・8%に当たる22団体が実施。この他、「研修・講習会の開催」は68・1%の32団体が取り組んでいる。最も多いのは「各種会議での働き掛け」で、89・4%だった。
改正品確法では公共工事の発注体制強化に向け、国・県に発注関係事務を担う職員の育成支援の努力義務を課すとともに、発注事務の国による実態調査と助言を規定した。こうした内容を踏まえ、国交省は、都道府県に対して管内市区町村に入札契約の改善を一層強く働き掛けるよう求める。特に有効な首長との直接対話を実施している団体が一部にとどまっていることから、取り組みの拡大を呼び掛けていく。
働き掛けの内容としては、適正な工期設定と週休2日工事の促進が最も多く、全47団体が実施していた。
この他、▽施工時期の平準化(45団体)▽ダンピング対策(43団体)▽書類の簡素化、電子化、ASPの活用(36団体)▽入札・契約に関する情報の公表(32団体)▽スライド条項運用基準の策定(28団体)▽CCUS活用の促進(22団体)―が続いた。
具体的な働き掛けの例を見ると、岩手県では、県と国交省の地方整備局職員が同行して市町村の実務面を担う副首長を訪問し、直接対話を通じて働き掛けている。愛知県は市町村を年1回個別訪問し、課題の聞き取りや解決策のアドバイス、好事例の紹介を実施。岡山県は発注事務に関して年2回の実態調査を行い、結果を県ホームページで公表している。
提供:建通新聞社