国土交通省は、直轄土木工事でデジタルデータを活用した監督・検査を促進するため、受注者からの提案を積極的に取り入れる。現行の基準と異なっていても、3次元モデルや拡張現実(AR)といった技術を活用し、従来よりも簡素化・効率化できる手法を試行。有望な事例を収集して基準改定の参考とする。
各地方整備局に対し、受注者からの提案を積極的に試行するよう求める通知を発出した。日本建設業連合会、全国建設業協会にも周知し、受注者からの提案も促す。民間が独自に編み出した工夫・ノウハウを生かし、i−Construction2・0で掲げている「2040年度までに省人化3割」の達成につなげる。
試行は土木工事共通仕様書に基づく土木工事が対象で、既契約分での実施も認める。ただし、「コンクリート工の生産性向上に関する試行」を実施する工事は対象としない。
現行の基準や手法、納品方法と異なっていても、デジタル技術で簡素化・効率化できるような新たな施工管理、監督・検査手法の提案があった場合、積極的に協議に応じる。
従来手法と比較し、監督・検査に支障がないことを受発注者双方で確認できれば、現行基準に代えて新たな手法の活用を認める。実施内容は施工計画書に反映する。
試行後、施工計画書や実施内容が分かる資料を国交省本省に提出し、基準改定の参考とする。
既に積算で費用計上している現行の基準・手法の代わりに実施するという位置付けのため、試行は契約変更の対象とはしない。
試行で優れた取り組みは、事例集にまとめることも想定している。
■AR・VR活用、基準化へ精度検証
既に試行が進んでいる、ARやVR(仮想現実)を活用した監督検査については、早期の基準化を検討している。年内に直轄の複数現場で試行し、精度を確かめる。
BIM/CIMで作成した3次元モデルを、AR技術で現地に投影し、その場で出来形計測を行うイメージだ。従来、出来形管理図表(ヒートマップ)を作成し、その上で実地検査と計測を行っていた。その場で3次元モデルと現地の様子を重ね、出来形をその場で確認することで、ヒートマップの作成を省略する。
提供:建通新聞社