2024/11/19
全国建設業協会地域懇談会・ブロック会議(6) 九州
全国建設業協会(全建、今井雅則会長)と九州・沖縄各県の建設業協会でつくる九州建設業協会(根〆眞悟会長)は、10月22日に宮崎市内で2024年度の定例懇談会を開催した。会合では、実態に見合った公共工事標準歩掛りの改善や、第3次担い手3法の履行に不可欠な民間発注者の意識改革について意見を交わしたほか、国土強靱化実施中期計画の早期策定、公共事業予算の増額確保等を国に求める決議を採択した。
会議には、九州・沖縄各県の建設業協会長や理事、全建の今井会長ら役員、国土交通省大臣官房審議官の堤洋介氏や橋本雅道氏ら幹部職員、九州地方整備局の森田康夫局長、内閣府沖縄総合事務局の山田哲也次長、宮崎県の佐藤弘之副知事のほか、九州・沖縄各県と政令市から建設関連担当部局の職員らが出席した。
挨拶で根〆会長は、建設業が地域のインフラ整備や災害対応といった公益的機能を果たし続けるためには、安定的・持続的な事業量の確保や労働者の処遇改善、適切な利潤の確保が必須であり、「これらが担保されることで、若者にとって経済的にも魅力ある産業となり、担い手の入職促進と技術の継承が図られ、将来にわたり地域の安全・安心を守ることができる」として、山積する課題の解決に官民一体で取り組む姿勢を示した。
会議では、@公共工事標準歩掛りの実態に見合った改善A担い手3法の改正に伴う民間発注者への対応BPPP/PFI事業における発注条件明示―をテーマに掲げ、それぞれの立場から意見を交わした。
このうち、公共工事標準歩掛りに関しては、第3次担い手3法で適正な労務費の確保と行き渡りが明文化された一方、技能者の高齢化や異常高温による作業効率の低下、安全対策の高度化、作業手順の変化等により、標準歩掛りと現場の実態で乖離が生じていると指摘し、調査の手法を含めて、早急な見直しを行うよう求めた。
また、著しく低い労務費等による見積りの禁止や原価割れ契約の禁止、著しく短い工期による契約の禁止など、第3次担い手3法が建設業者に多くの義務を課している中、これを適切に履行するためには、資材高騰顕在化に伴う契約変更協議に誠実に応じるなど、民間発注者の意識改革が急務であるとして、意識の浸透に向けた支援を要請した。
一方、PPP/PFI事業に関しては、建設(ハード)部分がコスト縮減の対象となる事例が散見されている現状を踏まえ、適正価格の確保や地元企業の参入等を念頭に、計画初期の段階で地域のプラットフォームや地方公共団体に対して、品確法の遵守、公共工事と同様の積算・条件明示の設定を指導するよう求めた。
会議ではこのほか、各県及び政令市が週休2日に対する民間工事や市町村への働き掛けの状況などを報告。また、国土強靱化実施中期計画の早期策定や公共事業予算の増額確保、予定価格の上限拘束性の撤廃や低入札調査基準価格の算定式の見直しなどについて、全建を通じて政府・与党に働き掛けてもらうことを盛り込んだ決議を採択した。
(地方建設専門紙の会・建設ネット)