国土交通省は、監理技術者や主任技術者の専任を要する建設工事の請負金額の下限を現行の4000万円から4500万円に引き上げ、基準を緩和する。監理技術者の配置を要する下請代金額の下限も引き上げる。建設工事費の急速な高騰を受けて、前回改正した2023年1月から約2年と短期間で基準額を見直すことにした。12月中旬にも建設業法施行令を改正するための政令を施行する。
技術者の現場専任が必要な請負金額を4000万円以上とする現行の基準は、21年時点の建設工事費の相場を示す建設工事費デフレーターを基にして23年に定めた。しかし、21〜23年の間にも建設工事デフレーターの指数は8・8%アップ。この上昇分を加味し、さらに基準額を引き上げることにした。前回(23年)の引き上げまでには6年を要しており、今回は物価の急激な上昇を受けて短期間で見直すことを判断した。
これにより、技術者の現場専任を要する請負金額の下限は現行の4000万円から4500万円、建築一式工事については8000万円から9000万円へと引き上げる。
特定建設業の許可を要する下請代金額の下限も4500万円から5000万円へと引き上げる。建築工事業の場合は7000万円から8000万円となる。これに伴い、施工体制台帳の作成を要する下請代金額の下限も4500万円から5000万円(建築一式工事は8000万円)へと引き上げる。
同様に、配置する技術者を監理技術者にしなくてはならない下請代金額の下限も4500万円から5000万円(建築一式工事は8000万円)に引き上げる。
上位下請けが主任技術者を配置した場合、下位の下請けによる主任技術者の配置が不要となる「特定専門工事」は、対象となる下請代金額の上限を現行の4000万円以上から4500万円以上とする。
技術検定の受験手数料も同じ政令の中で見直す。試験実施機関の人件費や会場費の上昇を受けて、安定的に試験事務を実施できるよう第1次検定と第2次検定のいずれも引き上げる。26年度実施分の試験から適用することとしており、金額は今後公表する。
手数料の増加分は、インターネットによる受験申請など、受験環境の改善にも充てる。
提供:建通新聞社