国土交通省は、監理技術者・主任技術者の専任義務を合理化し、請負代金額1億円(建築一式工事の場合は2億円)未満の工事現場を兼任できるようにする。兼任できる現場は2カ所まで。ICT技術を活用し、技術者が遠隔にいても適正に施工管理できることが要件となる。関係する政省令を改正し、12月中旬にも施行する。
技術者の専任義務の合理化は、改正建設業法に基づくもの。12月中の法施行に合わせ、兼任を認める要件などを政省令で整備する。技術者不足が深刻化する中、新技術を活用して施工管理の適正性を担保し、専任義務を合理化する。兼任を認める要件は、2022年に「適正な施工確保のための技術者制度検討会」が提言した内容をおおむね踏襲した。
具体的には、兼任する2現場の間の距離が、「1日で巡回可能」かつ「移動時間がおおむね2時間以内」であることを求めている。また、各工事の下請け次数は3次までしか認めない。
監理技術者・主任技術者との連絡や指示への対応を担う者の配置も求める。土木一式工事・建築一式工事については、1年以上の実務経験を有していなくてはならない。
技術者が遠方にいても現場の状況を把握できるよう、スマートフォンやタブレットなどの情報通信機器が必要だとした。建設キャリアアップシステムのように工事現場の施工体制を確認できる情報通信技術の措置も求める。人員配置を示す計画書の作成と現場据え置き、保存も要件とする。
運用上の詳細は、今後改正する監理技術者制度運用マニュアルに盛り込む。
営業所技術者についても、専任配置が求められる工事現場に監理技術者・主任技術者として配置できるようにする。請負代金額1億円(建築一式工事は2億円)未満の現場1カ所に限って認める。
要件は2現場兼任の場合と同様で、営業所と現場の間の距離が1日で巡回でき、移動時間が2時間以内▽現場の下請け次数が3次まで▽連絡員を配置▽施工体制や現場状況を確認できる情報通信技術を措置―などを求めている。
現行でも、監理技術者補佐の専任配置を要件として監理技術者の2現場兼任を認めている。ただ、全国建設業協会のアンケート調査では、実質3人の技術者配置が必要なこの制度の利用は、直轄工事でも2割強にとどまっている。
提供:建通新聞社