国土交通省は、地域建設業にとっても参画の容易な「スモールコンセッション」の促進に向け、地方自治体・事業者をはじめ幅広く官民の関係者が集まるプラットフォームを早ければ年内にも立ち上げる。地方自治体が所有する廃校、空き家といった遊休不動産を活用した、おおむね10億円未満のPPP/PFI事業の全国展開につなげる。
政府は6月に改定したPPP/PFI推進アクションプランで、スモールコンセッションを官民連携拡大に向けた新たな施策に位置付けた。従来のPFI事業は大規模施設の新設・運営が中心で、案件数と受注できる会社の双方が限られていた。スモールコンセッションにより、自治体資産の有効活用や維持管理負担の軽減とともに、地域の事業者が参画できる機会の拡大を目指す。
既存施設を改修し、地域のニーズに合致した新たな用途で活用するイメージだ。施設運営権を民間事業者に設定するコンセッション方式を中心に、事業ごとの条件に応じて管理委託や賃貸借など幅広い手法を取り入れる。空き家を宿泊施設にしたり、廃校を研究施設に生かしたりする手法が考えられる。
先行例の少ない事業のため、小規模な自治体や地域の事業者にとってはハードルが高い。国交省は、スモールコンセッションプラットフォーム(仮称)を立ち上げ、先進事例の共有や、事業の具体化に向けた官民のマッチング、アドバイザーによる支援を行う。自治体や民間事業者、金融機関、学識者の参加を想定しており、個人・団体を問わず受け入れる方向だ。
知見や経験のない自治体職員も取り組めるよう、国交省はノウハウを整理した実践ガイドライン(仮称)や事例集を作成する。PFIなどの事業実施に伴う手続きについても、簡素な手続きを周知する。
石破政権の看板政策である地方創生の施策としても期待される。25年度当初予算案にはスモールコンセッションの普及・啓発や案件形成の推進費を要求している。
機運醸成に向け、11月12日には「スモールコンセッション“未来創造”フォーラム」を都内で開く。プラットフォームの概要説明やスモールコンセッションの課題、今後の方向性などを発信する。
提供:建通新聞社