国の中央省庁は、改正品確法に基づく「発注関係事務の運用に関する指針」(運用指針)の骨子をまとめた。建設業団体の意見を踏まえ、指針の主な改正内容として「地域建設業の維持」と明記。公共発注者・業界の双方から要望のあった、「総合的に価値の最も高い資材等」の評価基準については、指針とは別にガイドライン・事例集の形で示す方向だ。
運用指針は、中央省庁・地方自治体など公共発注者が共通して取り組むべき発注関係事務を示す。改正品確法を踏まえて見直し作業を進めており、8〜9月に省庁・自治体などの公共発注者と建設業団体、有識者に骨子案への意見照会を行ったところ、1381件の意見が寄せられた。
意見を踏まえた主な修正点として、指針の位置付けに地域建設業の維持を盛り込み、公共工事の担い手育成・確保に配慮した適切な入札条件での発注の推進を追記した。
施工技術を有する大企業と地域の中小企業との連携に関する項目では、発注者が受注者に対して地域の中小企業への技術の普及に協力するよう措置を講じるとのイメージを記載。JVや施工中の講習会などの機会を活用することが考えられるという。まずは直轄工事での具体化を考える。
改正法で、災害時の被災状況の把握、復旧工法の立案に向けて活用すべきとされた「知識を有する者」については防災エキスパートなどを想定しており、記載方法を検討する。建設企業が災害対応する際、適切に積算することが規定された会社役員などの労災保険料については、運用指針とは別途に考え方を示す方向だ。
総合的に最も価値の高い資材、工法を選ぶVFMの導入を巡っては、評価基準を求める声が受発注者双方から寄せられた。CO2削減効果の評価をはじめ、直轄工事で先行して事例を積み上げ、ガイドラインや事例集の形でまとめる。
発注体制の強化に向け、国・都道府県が産学官の専門家と連携して自治体の発注関係事務を支援することも追記した。担い手確保に業界全体で取り組む趣旨も本文の最終まとめに合わせて盛り込む。
この他、平準化のための繰越し制度活用をはじめ、改正品確法の内容の周知徹底を求める意見も出ており、国交省は積極的に情報発信する。
運用指針の骨子案は公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議で、品確法の改正基本方針の本文案とともに提示した。基本方針については12月〜2025年1月の閣議決定を目指す。
運用指針は、11月上旬にも本文案をまとめる。改めて発注者や建設業団体、学識者への意見照会を実施し、基本方針の決定後に関係省庁連絡会議で申し合わせる。25年度発注分の工事から適用できるようにする。
提供:建通新聞社