国土交通省は10月23日、社会資本整備審議会・交通政策審議会のワーキンググループを開き、分野横断的な技術政策の方向性を議論した。新たなテーマとして技術分野の人材育成を提起。企業の人材投資拡大や、新技術の活用拡大に向けた発注側の人材育成、イノベーションを起こす異分野人材の発掘が論点となる。建設技術の国際展開もテーマに位置付ける。
会議の冒頭、沓掛敏夫大臣官房技術審議官は人口減少に伴う将来的な担い手不足に対し、「技術を新たに生み出し、活用する業界にしていくことが非常に大事だ」と述べた。
9月の中間まとめでは、デジタル技術をはじめ多様な技術が求められている現状に対し、人材育成や異分野人材の流動化が十分でないと指摘していた。今回の会議では、技能者に国交省・厚生労働省や業界団体の包括的な人材育成メニューがある一方、技術者人材の育成にはさらなる改善の余地があるとし、対策の検討を深めることにした。
国交省は、建設業界、民間事業者については技術力向上に自発的に取り組む環境整備が不足していたり、育成された人材の活躍の場がなかったりする点を課題に挙げた。また、企業の人的資本投資(人材のスキルなどに対する投資)を促す方策を課題とする。技術開発を担う異分野人材の発掘、新技術を積極的に活用できる発注者の育成も論点とする。
委員からは、留学生を含め、企業での博士人材の活用が不十分だとする意見が出た。ベテラン技術者の経験を若手に伝える研修と、新たなイノベーションを生む人材の育成との違いを指摘する声も上がった。
■インフラ技術を国際展開
インフラ整備・維持管理ビジネスの国際展開も人材育成と並ぶテーマとする。これまで海外の大規模事業をプロジェクト単位で受注することを目指す国際展開が主流だったのに対し、インフラそのものではなく技術のみを売り込む視点を提起した。念頭にあるのは、PC橋梁技術の特許を各国に売り込んだ事例などだという。海外でも通じる技術を売り込めむ際の支援策など、国交省の果たすべき役割について話し合う。
提供:建通新聞社