公正取引委員会と中小企業庁は10月24日、企業取引研究会を開き、下請法の適用基準などについて意見を交わした。下請法で保護する下請け事業者の適用基準として、現行の資本金額の区分を見直しに加え、従業員数や取引依存度、売上高など指標とすることを提案している。
現行の下請法では、企業の資本金額で親事業者と下請け事業者を区分している。物品の製造や修理を委託する場合、資本金額が3億円を超える事業者と3億円以下の事業者との取引、または、1000万〜3億円の事業者と1000万円以下の事業者との取引に下請法が適用される。
一方、資本金が少額でも事業規模が大きい事業者や、相手方事業者に資本金の減額・増額を求めて法適用を逃れようとする事業者がいることが課題となっている。実際、2023年に資本金額を1億円以下に減額した事業者は1235社あったという。
中小企業基本法など他法令の適用基準も参考に、下請法の適用基準を見直す。
また、「下請」という用語の見直しの検討も始めた。公取と中企庁の調査によると、「下請」という用語に差別的なイメージやいじめられる立場を示すイメージがあると回答した企業は全体の36・0%。受注者の80・1%、発注者の76・8%は「下請」という呼称を使用しておらず、時代の情勢変化に合った名称を考える。
今年3月には、岸田文雄元首相が、下請け事業者を「パートナー」と呼称する動きがあると指摘している。
この他、量産終了後の金型を受注者に保管させる場合の保管料負担や、知的財産・ノウハウの取引適正化、罰則などの執行力の強化、デジタル通貨の支払いなどについても課題を整理した。
提供:建通新聞社