建設技能人材機構(JAC)は、インドネシア人材の確保を目指し、現地の工業高校をターゲットとした建設業務説明会を開始する。10月25日のマカッサル市を皮切りに、2025年3月にかけて60校を訪問。日本の建設業で働くメリットとして、賃金水準の高さや安全性、中長期的なキャリアパスの構築を支援する体制をアピールする。
JACは、世界第4位の人口2・7億人を抱え、若年者の割合も高いインドネシアを特に有望な人材送り出し国の一つと位置付けている。韓国・台湾をはじめ近隣国との人材獲得競争が激化する中で、工業高校の教員に特定技能制度を知ってもらい、人材の掘り起こしにつなげる。
アピールポイントの一つは、建設業の賃金水準の高さだ。建設分野の特定技能外国人の月給が全産業平均を5万円以上上回っていることを発信。技能の向上と賃上げを連動させる日本の取り組みも紹介する。
安全対策の徹底も柱の一つとする。ヘルメットやフルハーネスの着用徹底など、インドネシアでは一般的でない取り組みが日本では当たり前であることを示し、同国で根強い建設業の危険なイメージを払しょくする。母国語による安全衛生講習など、JACの提供サービスも説明する。
特定技能2号への移行を目指した講習や日本語講座など、中長期的なキャリアパスの構築をサポートするJACの体制もアピールする。
この他、健康保険や労災保険の仕組み、宗教を含めた生活文化への配慮について説明し、日本で就労する際の不安解消につなげる。
インドネシア政府も人材の送り出しには前向きだ。JACが8月に現地で開いた日本の建設業務体験会では、同国労働省の幹部が参加し、日本の労働市場に期待を寄せた。体験会に参加した工業高校約40校は、JACが10月から開始する各高校での説明会にも参加を表明している。
日本への主要な送り出し国であるベトナムからの入国者数は、自国の賃金水準の上昇などを背景に伸び率が鈍化している。JACはインドネシアの首都であるジャカルタだけでなく地方を含めて工業高校を訪問することで、安定的な人材確保につなげる考えだ。
提供:建通新聞社