公正取引委員会と厚生労働省の調査に対し、一人親方を含むフリーランスに業務を委託している建設業の事業者(委託者)の8割が現行のフリーランス法の内容を知らないと回答した。建設業の同法に対する認知度は全産業で最も低い。建設業ではフリーランス新法の施行後に問題となる行為を行っている業者が多いことも分かった。
フリーランス新法が11月1日に施行されることに合わせ、現在のフリーランス取引について実態調査を行った。
フリーランス新法の認知度に関する質問では、建設業の委託者の80・2%が内容を知らず、フリーランス(一人親方)の90・9%も内容を知らないと回答した。どちらも全産業の中で最も高い割合だった。
フリーランス法では、業務委託後に、給付の内容や報酬額、支払期日などの取引条件を示す必要があるが、建設業の委託者の41・7%、一人親方の72・7%が取引条件を明示しなかったことがあると回答。認知度と同様、どちらも全産業の中で最も高い割合だった。
買いたたき・価格転嫁に関する質問では、建設業の一人親方の72・7%が価格転嫁できなかったと答えている。
不当な経済上の利益の提供要請では、委託者の20・8%が提供を受けたことがあると回答し、一人親方の50・0%が実際に提供したことがあるとしている。
また、建設業の委託者の63・5%がハラスメント対策の方針を、28・6%が相談窓口を周知していない。
この他、不当な報酬の減額、不当な給付内容の変更、募集情報の虚偽表示、契約を中途解除したことがあると回答した建設業の委託者は他産業よりも多かった。
調査では、フリーランスと関連がある業界の事業者団体の会員らから、5300件の回答が得られた。内訳は委託者が3761件、フリーランスが1539件。
提供:建通新聞社