会計検査院は、国土交通省や地方自治体が発注したICT活用工事で、出来形管理に関する補正額を過大に積算していた契約があったとして是正処置を求めた。従来型の出来形管理や、施工履歴データを活用した出来形管理など、本来は対象でないものにまで補正を行っていたとし、積算要領で対象手法、工種などを明確化し、周知する必要があると指摘した。
直轄事業などのICT活用工事では、3次元出来形管理やデータの納品に要する費用について、無人航空機による空中写真測量や地上型レーザースキャナーなど3次元計測技術を用いた場合に共通仮設費率、現場管理比率に補正係数を乗じている。
一方、従来手法による出来形管理や、ICT建機の施工履歴データを用いた場合は補正の対象にならない。
会計検査院は、国交省や自治体が2020〜22年度に発注したICT補正を伴う工事を調査。その結果、従来型や施工履歴データによる出来形管理を行っていたのにICT補正を行っていたり、点在型工事のため施工箇所ごとに補正の要否を判断する必要があったのに全施工箇所で補正を行っていた工事が直轄事業・補助事業を合わせて33件あったという。
会計検査院は事業主体に積算要領についての理解が十分でなかったと指摘。その上で、ICT活用工事での出来形管理の積算に際し、補正対象となる手法や工種、点在型工事での取り扱いを明確化する必要があったとした。今後もICT活用工事が生産性・安全性向上のために必要だとし、さらなる実施に向けて補正対象の明確化と周知徹底、自治体への助言を求めた。
提供:建通新聞社