2024/10/08
全国中小建設業協会 ブロック別意見交換会(3)関東
全国中小建設業協会(全中建、土志田領司会長)は9月30日、国土交通省などと関東ブロックでの意見交換会を開いた。土志田会長=写真=は冒頭で「発注量の確保が安定経営には最も重要。先を見通せる予算が確保されれば、計画的に処遇を改善し、新規入職や設備投資も可能になる」と強調した。さらに「落札率を予定価格の95%以上とするため、最低制限価格・低入札価格調査基準の見直しを引き続き要望する」と続けた。
会合には、関東ブロックの全中建傘下の▽東京都中小建設業協会▽全中建多摩▽町田市建設業協会▽神奈川県中小建設業協会▽横浜建設業協会▽全中建建友会―の6団体が参加。国交省からは、不動産・建設経済局建設業課入札制度企画指導室の酒井大斗課長補佐、関東地方整備局企画部の武藤健治技術調整管理官、建政部の佐藤孝建設産業調整官、営繕部の阿部直人官庁施設管理官らが出席。東京都都市整備局の小林千佳子建設業課長、横浜市の高瀬卓弥技監も出席した。
各団体では、週休2日工事の実施について受注者の立場から市区町村への改善を要望。東京都中小建設業協会は国土交通省の直轄工事と同じ水準での週休2日の補正係数の適用、神奈川県中小建設業協会は工事の実態に合わせて補正係数上乗せを指導するよう求めた。
国土交通省の酒井課長補佐は「直轄工事の補正係数を参考に市区町村も補正係数を設定している。自治体への影響も踏まえて検討していきたい」と話した。横浜市の高瀬技監は「補正係数ではなく、あらかじめ予定価格に経費を盛り込む標準化が望ましい」と提案した。
市区町村だけでなく、東京都住宅供給公社などの外郭団体も担い手3法に対応する必要性を訴えた全中建多摩に対しては、「入札契約適正化法では、外郭団体も統一して制度改善を働きかけるよう求めている」(酒井課長補佐)とした。
町田市建設業協会は、落札率が低下すると現場の賃金を引き上げられないとして、落札率を100%に近づける制度改善を要望した。酒井課長補佐は「適正な利潤の確保は非常に重要。まずは予定価格を適切に積算する、その上で最低制限価格制度を適切に運用するという二つのアプローチで利益を確保できる環境を整えたい」と回答した。
横浜建設業協会は、請負金額の30%を超える設計変更を認めない、いわゆる「30%ルール」の廃止の指導を改めて要請。酒井課長補佐はこの30%ルールについて「金額だけを理由に設計変更を拒否することを厳に慎むよう、すでに自治体を指導している。誤解がないように引き続き周知する」と強調した。
全中建建友会は、35度を超える猛暑日の工期設定を見直す必要があると指摘。酒井課長補佐は「働き方改革の観点から見ても、全体の工期として猛暑日を踏まえた適切な工期を設定していきたい」などと答えた。
会議の最後で、全中建の朝日啓夫副会長は「経済の好循環、賃金の引き上げのためにも、国が地方自治体への指導をさらに強化してほしい」と総括した。
(地方建設専門紙の会/建通新聞社)