国土交通省は、直轄土木工事の土工と河川浚渫工を対象に2025年度からICT施工を原則適用する。これまでは施工者の希望に応じて適用していた小規模な工事を含めて発注者指定とする。ICT施工の実施に当たっては、3次元設計データの作成と納品のみを求める「簡易型」は認めず、工事の全段階でのICT活用を受注者に求める。16年度の開始から約10年間で地域の建設業を含めて取り組みが浸透したことを受け、全面適用する。
16年度に直轄工事で開始したICT土工は、発注者指定の適用を徐々に拡大。24年度は土工量5000立方b以上か、予定価格3億円以上で原則発注者指定となっていた。
ICT土工の実績を見ると、23年度には発注者指定型で公告した土工を含む工事769件のうち760件(99%)、施工者希望型で発注者した1190件の工事のうち945件(79%)でICT施工を適用。全体では対象件数1959件のうち1705件(87%)で適用していた。
同様に、浚渫工(河川)も発注者指定型で公告した全8件、施工者希望型は12件中10件でICT施工を適用している。
Cランク以下の比較的小規模な工事を含め、ICT活用が進んでいる実態を踏まえて今回、原則化を決めた。
直轄工事ではICT建機に不慣れだったり、導入が負担になる地域の建設業者を念頭に、ICT建機による施工を不要とし、3次元の起工測量と設計データ作成、出来形管理、納品のみを求める「簡易型」などの部分活用もICT施工として認めていた。今回の見直しにより、25年度からはICT建機による施工を含め、施工プロセスの全段階でICT活用を求める。
原則化に伴い、ICT活用に対して行っていた工事成績評点での加点措置は廃止する。
その他の工種でも、舗装工や地盤改良工については引き続き、活用状況を見ながら発注者指定の要否を検討する。23年度時点の適用実績を見ると、舗装工は発注者指定型で公告した28件のうち27件(96%)、施工者希望型の374件のうち250件(67%)でICT施工を実施。地盤改良工は発注者指定型の4件全てと、施工者希望型の221件のうち192件(87%)で実施した。
提供:建通新聞社