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2024/09/30

建築物のCO2量把握 BIMモデル事業を新設

 国土交通省は、BIMを活用し、建築物の建設・維持管理段階を含めて発生するCO2の量を算出する取り組みを支援する「建築GX・DX推進事業」を新設する。大規模・非住宅を中心に、先導的な取り組みを後押しするとともに、用途・規模に応じたCO2排出量のデータを収集する。脱炭素への対応を迫られている民間発注者にメリットを示し、BIM導入を加速させる狙いもある。2025年度予算の概算要求に事業費を盛り込んだ。
 建築物に関わるCO2排出量の把握・削減の対象は現在のところ、供用後の空調や照明によるエネルギー消費をはじめ、使用段階が中心となっている。新設する支援事業は、建設段階から維持管理・解体段階までの全体で発生するCO2排出量を算定するライフサイクルアセスメント(LCA)の実施を補助。建築分野の脱炭素の取り組みに新たなアプローチを取り入れることになる。
 新事業は、建築物のBIM活用を後押しする建築BIM加速化事業の新たなメニューとして追加することを想定。BIMモデルを作成してLCAを実施する建築プロジェクトごとに応募を受け付け、LCA算定やBIMモデル作成費用への支援などを補助する。
 対象は大規模・非住宅がメーンになる見通し。先導的な取り組みのモデルを形成するとともに、用途や規模に応じてどのように排出量が変わるかなどの基礎的なデータを収集する。
 具体的には、部材ごとの製造段階や流通段階などで発生するCO2排出量(原単位)と、BIMモデル内の数量をひもづけ、LCAを算定する手法を考えている。部材の数量の変動に応じて建設、維持管理、使用の各段階で発生するCO2排出量を算定し、必要に応じて設計内容の見直しへとフィードバック。脱炭素の観点からも最適な設計を実現する。
 既に、学識者や建築・不動産関係団体、国交省も参画するゼロカーボンビル推進会議では、建築物のLCAを可能とする算定ツール「J−CAT」を開発している。建築GX・DX推進事業の成果は、こうしたツールのブラッシュアップや、算定人材の育成にも生かしたいとしている。
 新事業には、建築BIM活用の促進策という側面もある。特に民間建築工事の主要な発注者である大手デベロッパーは、金融市場や取引先から事業に伴うCO2排出量の開示を求められる場面が増えている。発注者に対してBIM活用のメリットを示し、さらなる普及につなげる。

提供:建通新聞社