国土交通省は、次期社会資本整備重点計画(社重点)に「新たなインフラマネジメント方針」を盛り込む。「強靱(きょうじん)な国土」「社会資本整備を支える基盤の強化」という計画の目標を実現するため、官民連携の推進体制や自治体支援の仕組みを整える。9月25日に開いた社会資本整備審議会と交通政策審議会の合同部会で提示した。
社重点は、インフラの計画的・戦略的な整備に向けて目標と具体的な取り組み事項、進ちょくの指標を示すもの。現行計画は21年から5年間を対象としており、次期計画となる第6次社重点の検討を国交省で進めている。
25日の会議では、インフラ整備の目標を効率的・効果的に達成するための横断的な手法として新たなインフラマネジメント方針の素案を提示した。具体的には、ダム運用高度化のようなインフラのハード・ソフト一体活用▽多分野・広域的なインフラの連携▽官民連携によるインフラ整備▽地域住民の参画▽新技術活用・DXの加速化―が柱となる。
こうした施策を具体化するため、先導的な事業やモデル的な取り組みへの支援と横展開、整備効果の可視化を推進。官民連携を後押しする体制と、自治体を継続的に伴走支援する仕組みを整える。社重点に盛り込んだ計画を実現できるよう、地方自治体の課題に寄り添い、国交省としても積極的に後押しする姿勢を明確にした形だ。
25日の会議では社重点全体の重点目標についても整理。「活力のある持続可能な地域社会の形成」「強靱な国土が支える持続的で力強い経済社会」「グリーン社会をけん引する社会資本整備」「戦略・計画的な社会資本整備を支える基盤の強化」を柱とする案を示した。
地域社会の形成では、特に人口減少が進む地方を対象に、今後必要になるインフラ整備の在り方を示す。コンパクトなまちづくりや産業立地の環境整備、地域インフラ群再生戦略などの施策を盛り込む。
強靱な国土については、防災・減災、国土強靱化のさらなる推進や能登半島地震を踏まえたネットワーク整備の他、経済安保の観点からインフラのセキュリティー強化も検討事項とした。
グリーン社会の形成施策には、カーボンニュートラルやグリーンインフラの促進を位置付ける。
インフラ整備の基盤強化では、自治体の技術職員減少への対応や、官民による建設業者の処遇改善と建設キャリアアップシステムの普及促進、建設工事のあらゆる場面での新技術導入の加速化などを盛り込む。
提供:建通新聞社