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2024/09/19

「十分な施工余力」確認 賃上げは着実に進展

 斉藤鉄夫国土交通相は9月17日、建設業4団体と意見交換を行い、民間の建設需要に応えながら、公共工事を円滑に執行するのに十分な施工余力があることを確認した。各団体は施工余力が十分にあるとした上で、公共工事の不調・不落対策では適正な積算や予定価格が重要になるとの意見を述べた。4団体が3月に申し合わせた「5%を十分に上回る賃金上昇」の取り組みが着実に進んでいることも説明した。
 斉藤国交相は、2025年度予算の概算要求で、資材価格の高騰や労務費の転嫁に配慮しながら事業量確保に取り組む考えを述べた。公共事業の予算執行が民間の建設投資を妨げる、いわゆる「クラウディングアウト」の懸念に対し、国交省として「こうした指摘は当たらない」と強調。各団体に施工余力の状況を聞いた。第3次担い手3法により適正な労務費を確保する制度が設けられることに触れ、賃上げの取り組み状況についても質問した。
 日本建設業連合会の宮本洋一会長はICT施工の普及により、生産性指標が継続的に上昇しているデータを示し、計画的な発注により十分な施工体制の確保が可能だとした。国土強靱(きょうじん)化実施中期計画の早期策定も求めた。
 賃上げについては、5%アップの目標を踏まえた労務費を見積もるとともに、下請け企業から技能者へ着実に支払われるよう働き掛けていることを説明。賃上げや適正工期の確保について「課題は民間工事にある」と指摘し、発注者への指導を国交省に求めた。
 全国建設業協会の今井雅則会長は、公共工事の不調・不落の減少傾向を解説し、一部で残っている要因は「官積算とのかい離」にあると指摘。施工余力とは無関係とし、適正な発注を求めた。
 会員企業が直接雇用している技能者については会員企業の8割以上が賃金を引き上げ、約3割が5%以上引き上げているデータを提示した。賃上げに対する総合評価での加点措置については改善措置を注文した。

■「適正価格、工期による発注を」

 全国中小建設業協会の土志田領司会長は、地方自治体の工事を中心に受注している中小建設業者の施工余力は「全く問題ない」と述べた。合わせて、自治体の発注工事については「必ずしも適正価格になっていない」と指摘し、適正な価格、工期による安定発注の必要性を訴えた。
 賃上げについては、首都圏の会員団体に対する調査で、賃上げ実施企業が約8割だったことを紹介。ただ、従業員の定着のため、賃上げをせざるを得ない側面もあるとした。
 改正建設業法に基づく標準労務費については、予定価格に近い価格で受注できて初めて適正な支払いが可能になるとした。
 公共工事の設計変更について、特に自治体で書類作成や追加検討を求められるなど適正でない対応が多かったことなど、自治体工事の実態を紹介。「市町村で週休2日制への理解が進んでいない」と指摘し、国からの指導を呼び掛けた。
  建設産業専門団体連合会の岩田正吾会長は「施工余力には問題がない」とした上で、賃上げや資材高騰への対応、十分な工事量を含んだ予算の獲得を要望した。改正建設業法に基づく標準労務費の設定にも触れ、建設Gメンによる請負契約の監視も求めた。

提供:建通新聞社