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2024/09/13

建物の耐震対策を加速 能登半島地震受け新事業

 国土交通省は、能登半島地震による被害を踏まえ、住宅・建築物の耐震対策を強化する。2025年度に「住宅・建築物防災力緊急促進事業」を創設し、いまだ多数残っている耐震性不足の住宅や、緊急輸送道路沿いの建物の耐震改修を加速させる。防災拠点となる施設整備への支援措置も設ける。25年度当初予算の概算要求に必要な費用として300億円を盛り込んだ。
 能登半島地震の住家被害は、全壊8391棟、半壊2万1377棟に及ぶ甚大なものとなった。被害の多くは建築年代が古い旧耐震基準の建物に集中した。特に居住者が高齢な場合、耐震改修のインセンティブが働きにくいことも指摘されている。首都直下地震や南海トラフ地震ではさらに大規模な被害が想定されており、対策は急務だ。
 国交省が創設する住宅・建築物防災力緊急促進事業は、既存の住宅・建築物耐震改修事業を緊急的に強化する。耐震診断や補強設計、耐震改修に要する費用に対し、現行の補助率11・5%の上乗せも視野に調整を進める。不特定多数が利用する建築物にも適用できるようにする。18年度に約87%だった住宅の耐震化率を、30年度までにおおむね100%まで引き上げる。
 耐震診断が義務付けられている建物の診断・補強設計・耐震改修を促進する建築物耐震対策緊急促進事業も強化する。対象は、不特定多数が出入りする一定以上の規模の要緊急安全確認大規模建築物や、災害時に物資などを被災地に運ぶ緊急輸送道路の沿道にあり、自治体が指定する要安全確認計画記載建築物。
 特に複合的な利用のビルの場合、合意形成が困難なため、改修が進まない事例も少なくない。専門家による調整など、事業の円滑化に要する費用も含めて支援し、耐震性の確保を促す。補助率は3分の1。一連の取り組みを通じ、20年度時点で耐震化率74%となっている耐震診断義務付け建物について、25年度までに耐震性不足をおおむね解消したい考えだ。
 さらに、災害時の負傷者の受け入れ拠点整備を支援する「災害時拠点強靱(きょうじん)化緊急促進事業」を拡充する。帰宅困難者の一時滞在施設として自治体と協定を締結するオフィスビル、学校などと、災害拠点病院が対象。食料・水の備蓄などを要件として、防災倉庫や非常用発電機などの整備に要する掛かり増し費用を補助する。国の補助割合引き上げなどを検討する。

提供:建通新聞社