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中央ニュース

2024/09/04

予定価に「総合的価値」反映 品確法運用指針の改正骨子案

 国土交通省は、品確法に基づく基本方針の改正骨子案と「発注関係事務の運用に関する指針」(運用指針)の改正骨子原案をまとめた。新技術活用による生産性向上を取り組み事項に明記。総合的に最も価値の高い資材、工法を選び、積算に反映するバリュー・フォー・マネー(VFM)の考え方を盛り込んだ。スライド条項の適用基準の策定や、災害協定に基づく工事での労災保険料の積算、維持管理を広域で行う体制構築にも取り組むこととした。
 運用指針は、公共発注者の発注関係事務に関する共通の指針。改正品確法で示した「働き方改革・処遇改善」「地域建設業の維持」「新技術活用」「発注体制強化」の四つの柱に沿って、具体的な取り組み事項を追加する。
 新技術活用のため、価格以外の価値を踏まえ、必要な費用を反映した予定価格を積算する。脱炭素化につながる技術、工夫の活用に対する配慮も記載。国土技術政策総合研究所が策定した、公共工事でのCO2排出削減効果を評価するガイドラインを活用することも求める。
 公共工事での技術開発を国交省が推進することも明記。オープンイノベーション促進や、新技術の信頼性評価に取り組む。直轄で先行しているBIM/CIMによる受発注者間のデータ共有や、情報共有システムによる書類の電子化、遠隔臨場やデータを活用した監督・検査も盛り込んだ。
 担い手確保に向けた処遇改善では、土日を休日とする週休2日を推進する。施工時期の平準化の促進に向け、発注部局だけでなく、入札契約・財政部局とも連携して取り組む。スライド条項を工事請負契約書に規定するとともに、変更後の代金額の算定方法に関する適用基準を策定するとした。受注者が契約変更協議を申し出た際は、誠実に協議に応じる義務があることも示した。工業高校など教育機関と建設業団体の連携促進、公共工事に関する広報も国・地方自治体の役割に位置付ける。
 地域建設業の維持では、担い手確保・育成を念頭に競争参加資格などを設定することを明確化。技術力ある企業と地域の中小企業との連携を促すような発注・契約面の措置についても記載した。受注希望者が限られる場合に、競争参加者がいないことを公募により確認した上で随意契約できる方式を活用する。

「災害対応時の補償を充実」

 地域建設業の災害対応力を高めるための項目も追加。災害協定に基づく応急対策・復旧工事で、会社役員を含めた労災保険料や、第三者損害を担保する保険料を含めて適切に予定価格に反映する。復旧・復興JVの活用により大手企業から地域企業への技術移転を促す。災害時に被災地や周辺地域で施工中の公共工事を適切に一時中止することも盛り込んだ。
 公共工事の発注体制強化では、広域的・分野横断的な維持管理を行う「地域インフラ群再生戦略マネジメント」を記載し、職員不足に悩む自治体に対応を促す。国・都道府県に対しては、市町村向けに発注に関する研修・講習会を開くよう求める。
 9月2日に開いた「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」で示した。基本方針は12月にも閣議決定する。運用指針は、自治体・建設業団体への意見照会を経て、公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議で12月〜2025年1月に決定。公共発注者が25年度からの発注に反映できるようにする。

提供:建通新聞社