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中央ニュース

2024/08/26

維持修繕工事の発注手法 試行方式の組合せ提案

 国土交通省は、直轄の維持修繕工事を対象に、試行的な発注手法を複数、組み合わせることを検討する。建設生産・管理の課題について学識者・業界団体と話し合う懇談会を8月22日に開き、取り組みのイメージを提示した。維持水準の向上や費用削減、不調・不落対策、地域企業の受注機会確保といった発注方式ごとの効果を踏まえ、個々の現場が抱える課題に応じた最適な発注方式の組み合わせを選ぶ。早ければ2025年度に開始する。
 組み合わせの対象となる発注方式は▽長期性能保証▽性能規定方式▽ECI▽設計工事連携型▽地域維持型JV▽事業協同組合▽参加者確認型契約▽フレームワーク方式―の8類型。それぞれ、維持修繕工事に特有の課題を解消するため、複数年度にわたって全国の各地方整備局などで試行的に導入してきた。
 国交省は各発注方式の目的や効果に応じて効果的な組み合わせを整理。工事の発注に際し、目指す効果や維持水準を向上させる必要性の有無、地域企業を活用する必要性の大小に応じて最適な組み合わせを決定する手順案を提示した。
 たとえば、効率的な発注による受発注者の事務負担軽減を優先する場合、地域単位の複数工事に対して入札参加意欲をあらかじめ確認してから指名競争入札を行う「フレームワーク方式」を適用。維持水準を向上させる必要性が大きい場合には工事完了後も受注者に品質保証を求める期間を設定する「長期性能保証」や、発注者の求める性能を示して工法・材料に受注者のノウハウを生かす「性能規定方式」を併用。その上で、担い手確保に向けて地域企業の活用の必要性が大きいときは、地域の建設業者が継続的な実施体制を確保するためにJVを組成する「地域維持型JV」や、中小企業が協同で工事を行う「事業協同組合型」も合わせて適用するイメージだ。
 懇談会では冒頭、沓掛敏夫大臣官房技術審議官が「担い手不足に直面する建設業界が、地域の守り手として持続可能であるための議論をお願いしたい」と述べた。委員からは、山間部の除雪作業で入札に応じる企業がなく、事業協同組合を導入した事例を紹介。そもそも受注希望者がいない場合の対応が課題となっている地方の状況を指摘した。

提供:建通新聞社