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2024/08/21

著しく低い労務費 「警告事例集」で目安示す

 国土交通省は、改正建設業法に基づく「著しく低い労務費」の運用に当たり、法令違反が疑われるような悪質な取引事例を「警告事例集」として示す。労務費の基準を著しく下回る見積もりを禁止する規定を施行する2025年末ごろまでに、まずは違反の恐れがあって警告を受けかねないようなケースを整理し、事例集にまとめる。受発注者に参考にしてもらい、適正な契約を促す。
 改正法により、中央建設業審議会が「労務費の基準」を作成・勧告できるようになった。技能者が適正な賃金を受け取れるようにするため、基準に基づく標準労務費を著しく下回るような受注者の見積もり、発注者の見積もり依頼を禁止する。
 労務費の基準は今後、中建審のワーキンググループで検討する。これまでの国会審議では、公共工事設計労務単価などをベースに歩掛を乗じ、作業量当たりの単価を設定するイメージが示された。
 一方、「著しく低い」の水準を「標準労務費を10%下回る」といった形で具体的に示すと、実際の取引で労務費が下限値に張り付くことになりかねない。そこで、警告事例集として法令違反となる恐れがある行為を示し、民間を含めた発注者や建設業者に判断基準の目安として周知する。
 国交省の担当者は改正法に基づく規制の施行に当たり、取引の現場に混乱を招かないよう「柔軟に運用する」姿勢を強調する。事例集で、法令違反に関する一定の相場観を形成し、事業者が警告を受けかねない事態を予見できるようにすることで、適正な取引を促す狙いがある。
 法の施行後、実際の違反事例が集積すれば、事例集に反映していく。
 違反した見積りを行った建設業者が大臣許可の場合は国交大臣、知事許可の場合は都道府県知事が指導・監督処分を行う。同様に、違反した見積り依頼を行った発注者に対しても、取引相手の許可区分に応じて国交大臣・都道府県知事が勧告・公表の措置を取る。
 このとき、都道府県知事が円滑に勧告できるようガイドラインも整備する。警告事例集と方向性をそろえ、統一的に制度を運用できるよう、勧告・監督の目安を示す。

提供:建通新聞社