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2024/08/20

都市緑地法11月施行 指定法人が緑地取得代行

 都市開発に合わせた緑の創出や地方自治体の緑地の買い入れを支援する、改正都市緑地法が11月1日に施行される。海外の主要都市と比べ、国内の都市には緑地が少なく、1人当たりの公園面積も小さい。国土交通大臣認定を受けた民間開発に都市開発資金の貸し付けで支援したり、地方自治体に代わって土地所有者から緑地を買い入れる国指定法人制度を創設するなど、都市に緑地を確保するための新たな枠組みを整える。
 森記念財団がまとめている世界の都市総合ランキングによると、緑地の充実度が最も高い都市はベルリンの93・5%。東京は36・0%、大阪は21・2%に過ぎず、主要都市でも最も低い水準にある。都市の緑地は収益につながらず、土地所有者に相続が発生すると、住宅用地として売却されるため、減少傾向が依然として続いている。
 5月に成立した改正都市緑地法では、緑地が住宅用地などへと転用されないよう、緑地の買い入れを代行する指定法人制度を創設する。指定法人は、緑地保全のために建築行為が制限される「特別緑地保全地区」にある緑地を対象として、財政難の自治体に代わって国の予算で緑地を買い取る。
 その上で、指定法人は樹林の一部を伐採したり、竹を全面的に伐採して雑木林へと再生する「機能維持増進事業」を実施。緑地を再生した上で自治体に緑地を譲渡する。11月1日の法施行後に指定法人を公募し、年内に法人を指定する。指定法人は、24年度中に1〜2件程度の緑地、25年度以降は年間10件程度の緑地を買い取る見込みだ。
 一方、緑地に収益性を持たせるため、緑地を確保した民間開発を大臣認定し、都市開発資金を貸し付ける「優良緑地確保計画認定制度」も創設する。緑地面積が1000平方b以上で、敷地全体に占める割合が10%以上だと、認定の対象になる。
 緑地面積の割合とともに、緑地のCO2吸収量、外来種の侵入防止策、市民利用の可否などを評価。認定を受けた民間開発に対し、都市開発資金から無利子で資金を貸し付ける。11月1日の施行までに認定制度の運用に必要な指針や要綱を整え、年度末までに初の認定を見込んでいる。
 さらに、国主導で戦略的に都市緑地を確保するとし、現在は24都道府県にとどまっている緑の広域計画の策定を法定化する。国の基本方針を踏まえ、都道府県が市町村域をまたがる緑地を計画的に確保できるようにする。

提供:建通新聞社