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中央ニュース

2024/08/15

出来形管理図の作成省略 3次元モデル活用で試行

 国土交通省は、BIM/CIM活用の一環として、完成検査で出来形管理図表の作成を省略する工事を試行する。拡張現実(AR)技術を活用し、施工段階で作成した3次元モデルを現場に投影することで、図表を作成せずとも出来形検査を行えるようにする。2024年度中の試行を目指す。
 BIM/CIMの活用工事では、設計図書を基に施工者が3次元モデルを作成し、盛土などの工作物を建設する。施工の途中では、ドローンなどで3次元計測を行い、点群データから段階的に出来形を確認。完成時には点群データと3次元モデルを重ね合わせ、出来形に差異がないかを評価する。
 現行の手順では完成検査に先立ち、3次元モデルと点群データの重ね合わせから、仕上がり面の切り土・盛土の差異などを可視化するヒートマップを施工者が作成し、出来形管理図表としている。
 発注者の検査職員は出来形管理図表から指定箇所の出来形管理値の計測結果をメモ。実地検査ではトータルステーションなどを活用して指定箇所の出来形計測を行い、設計面と実測値の標高差が基準値内に収まっていることを確認する。
 国交省は、受発注者双方の手間を減らし、監督検査を効率化するため、出来形管理図表を使わずに完成検査を行うことを検討。AR技術を活用して構造物に3次元モデルを重ね合わせ、その場で設計面と実測値の差異を把握・評価する出来形検査を行うことにした。2024年度中に直轄工事現場で試行したい考え。
 この技術を応用すれば、発注者が遠隔で検査することも可能になる。既に施工途中の段階確認や材料確認で一般化している遠隔臨場をさらに前進させる取り組みとなる。
 設計者や施工者、発注者でBIM/CIMによるデータを共有し、各種作業の自動化、効率化を目指す取り組みの一環。監督・検査の次の段階では、納品した3次元モデルに基づく構造物の維持管理の効率化にも取り組んでいく。

提供:建通新聞社