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2024/08/09

工期変更の提案は6割超が受注者

 国土交通省が建設企業に対して行った民間工事の工期設定に関する調査結果(2024年1月1日時点)によると、工期変更を受注者側から提案したとの回答が66・7%に上り、前年度と比べ11・6ポイント上昇した。時間外労働の上限規制を目前に控え、工期変更を注文者に提案する受注者が増えた。変更後の工期がおおむね妥当な工期になったとの回答も76・3%と前年度から10・2ポイント伸びた。
 受注者から工期変更を提案したケースは、21年度に43・1%、22年度に55・1%、23年度に66・7%と、この2年で23・6ポイント上昇している。
 工期変更の理由としては「関連工事との調整」と回答した企業が28・4%で最多だったが、「資機材の調達難航」の25・5%、「人手の確保難航」の23・9%が続いた。人手の確保難航を理由に工期変更したと回答した企業は、前年度から7・6ポイント増えている。
 変更後の工期を「おおむね妥当な工期となった」との回答が全体の76・3%となり、工期を延長する変更契約を結んだ企業が多かったとみられる。反対に、変更後の工期を「短い工期となった」とした企業は14・4%となり、前年度よりも5・3ポイント減った。
 工期変更に対して工事費が増加したと答えた企業は51・5%と2・4ポイント低下。工事費が増加した理由を「労務費の増大」とした企業は全体の78・2%に上り、人手不足に伴う労務費上昇の影響が顕著に出た。
 時間外労働の上限規制の適用を直前に控えていたこともあり、調査結果には各受注者が工期変更によって時間外労働の削減を図ろうとの姿勢が現れた。
 6月に成立した改正建設業法でも、工期に影響を及ぼす事象(資材価格の高騰、資材納入遅延など)を契約までに通知することを受注者に義務付け、実際にこれらの事象が発生した際に注文者と工期変更の協議を提案できるとした。注文者に対しても、受注者から工期変更の協議の申し出があった場合、誠実に応諾することを求めている。
 調査は、今年1月29日〜3月1日に建設業団体116団体の会員企業を対象に実施し、22年12月以降に請け負った工事を対象に回答してもらった。調査は1月1日時点。有効回答企業数は1276社だった。

提供:建通新聞社