トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2024/08/08

時間外労働規制の特別条項 「超過の技術者いる」は17%

 国土交通省の調べで、技術者を雇用する建設企業のうち、時間外労働規制の特別条項を「超過する技術者がいる」と回答した割合が17・2%だったことが分かった。調査は1月1日時点の状況を聞いたものだが、建設業に時間外労働の罰則付き上限規制が適用された4月以降であれば法に触れる水準と言える。長時間労働の是正のため、適正工期を確保できるよう受発注者の協議をさらに促進することが求められる。
 建設業の働き方改革に向けて毎年度実施している「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査」の2023年度分としてまとめた。調査対象は全国の建設企業1302社。
 技術者の月当たりの平均時間外労働が、規制適用後の原則上限である45時間を超えていたのは14・9%。一方、技能者は9・0%だった。
 月45時間・年間360時間を超える時間外労働について労使が合意している場合(特別条項)でも、月100時間以上・年720時間超などの長時間労働は法令違反となる。今回の調査では4月からの規制適用を前に、特別条項を超過する技術者の有無を初めて質問。技術者を直接雇用している回答企業の17・2%が「いる」と回答した。一方、技能者では4・7%で、技術者の時間外労働がより深刻な実態が改めて裏付けられた。
 ただし、働き方改革そのものは進展していることも分かった。平均的な休日の取得状況に関する質問では、技術者について「4週8休以上」と回答した企業が21・2%を占め、前年度比9・5ポイントのアップとなった。技能者は25・8%で、14・8ポイントとさらに上昇幅が大きい。技術者、技能者とも、最も多いのは「4週6休」だった。
 長時間労働の是正には、適正な工期の設定が重要になる。民間工事に対象を絞って工期設定の状況を聞いたところ、注文者と協議の上で要望を「受け入れられることが多い」「受け入れられることが少なくない」と回答した割合は合計63・3%で、10・8ポイント上昇した。
 工期不足への対応では、「休日出勤」が58・5%で最多。一方、「工程の合理化」が34・4%で6・8ポイント増、「工法変更」が22・4%で4・0ポイント増となるなど、作業を効率化する取り組みが増加している。
 工期に影響を与える条件については、「明示されなかった」という工事が43・0%を占めた。ただ、受注者側から工期変更を提案したとの回答も66・7%あり、11・6ポイントと大きく増えた。
 資材価格高騰への対応状況についても調査。契約変更条項が「ほとんどない」「全くない」との回答が45・0%と半数近くを占めた。また、変更協議を発注者に「依頼しない」「応じてもらえない」という回答も40・4%に上った。
 改正建設業法では工期ダンピングを受注者に対しても禁止する。また、請負代金額の変更方法を契約書の記載事項として規定。誠実に協議に応じる努力義務を発注者に課す。国交省は改正法の施行を通じ、適正な工期設定や価格転嫁を促していく。

提供:建通新聞社