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中央ニュース

2024/08/05

作業時間の短縮に効果 設計と工場製作の連携

 建設コンサルタンツ協会(建コン協)と日本橋梁建設協会(橋建協)が、鋼橋の設計データと工場製作の連携を国土交通省の直轄工事で試行したところ、工場製作時のデータ作成に要する作業時間を1割(約20時間)、短縮できたことが分かった。試行で把握した課題の解消により、作業時間をさらに3割(約90時間)以上短縮することを見込む。
 従来の手法では、設計段階で鋼橋の2次元図面を作成し、施工(工場製作)段階で設計図を基に正確な寸法を決定する。その際、手作業で構造物の情報を入力し、鋼板の加工データを作成している。今回の試行では、設計段階で3次元設計データと、3次元データをやりとりするための「中間ファイル」を作成・納品。施工段階で設計データを生かし、構造物の入力作業を自動化した。
 鋼橋工事3件で試行導入し、このうち先行している1件で試行結果を検証。3次元データを使うことで作業工数を削減できただけでなく、工事の受注直後から構造を把握できたり、干渉チェックを自動化する効果を確認したという。
 国交省では、設計段階のシステムと施工段階のシステムをよりスムーズに連携させたり、中間ファイルの設定を見直すことでさらなる作業短縮が可能になるとみる。他の試行結果も踏まえ、今年度中に対応可能な課題を解決すれば、作業時間を4割弱(約110時間)、短縮できそうだ。
 中間ファイルで未整備となっている部材の定義など、今後2年程度かけて対応することで、6割(約200時間)の作業短縮も可能だという。
 今回の試行は、鈑桁の橋梁工事で実施した。試行結果を踏まえ、26年度以降に標準化するスケジュールを描いている。
 今後は構造がより複雑な箱桁についてもデータ連係に向けたシステム開発を進める。標準的な桁橋である鈑桁、箱桁で設計・施工のデータ連携を進め、鋼橋工事の生産性を高める。
 建コン協と橋建協の連携は23年度にスタート。発注者である国交省を交えた3者の協働でデータ受け渡し方法の検討などを進めていた。

提供:建通新聞社