国土交通省は、橋梁下部工を対象に、BIM/CIMを活用した積算を2024年度に試行する。3次元モデルに数量などの属性情報を持たせ、集計できるようにする。設計や関係者協議だけでなく、積算、施工へとデータを連携させる取り組みの先行事例という位置付け。事業の各段階でデータを引き継ぎ、生産性向上につなげる。
現在は、BIM/CIMで3次元モデルを作成しても積算根拠と連携しておらず、設計ソフトで算出した数値を手入力で規定の様式に転記し、予定価格を算出している。BIM/CIMの3次元モデルに属性情報を持たせ、適切なデータに変換できるようにすることで、積算システムへの自動入力を実現させる。数量は3次元モデルから算出し、工種については国土技術政策総合研究所が整備した「工事工種体系ツリーコード」などを活用するイメージだ。
RC橋脚は標準的な高さ・形状の場合、コンクリート量や鉄筋量で積算が可能で、施工条件も標準化されているため、先行して試行することにした。
3次元モデルを活用した積算に加え、隣接工事へのデータの引き継ぎにも試行的に取り組む。具体的には、設計業務で3次元モデルを作成する際、支承を設置するためのアンカーボルト孔の位置を明示。工事の段階ではこのデータを基に、現場条件に合わせて実際に施工し、その結果を踏まえて3次元モデル上でアンカーボルト孔の位置を更新し、隣接する橋梁下部工に引き渡す。
直轄工事では通常、橋梁下部工を1基ごとに分けて発注する一方、設計業務は複数径間をまとめて委託する。各工事の施工段階で更新した3次元モデルを順次、引き継ぐことでアンカーボルト孔の位置の連続性を確保し、上部工を適切に施工できるようにする。
並行して、他のコンクリート構造物や土工などを含めたBIM/CIM積算の具体化も検討する。3次元モデル作成ソフトに属性情報を付与する機能を追加する方法や、数量集計データを利用可能な形に変換するためのツールなどを25年度にかけて考える。
提供:建通新聞社