国土交通省が都道府県・政令市の発注工事を対象に、不調・不落対策の実施状況を調べたところ、工種別では土木で取り組みが先行していることが分かった。契約後の工事着手時期を受注者が一定程度、柔軟に選べるようにする「余裕期間制度」は、土木では全67団体の9割近い59団体で導入している一方、機械は50団体、建築は45団体にとどまった。
改正品確法では、地域の実情を踏まえた適切な入札参加条件・規模による発注が発注者の責務に位置付けられた。国交省は都道府県とも連携しながら、適切な発注を粘り強く働き掛けていく。
不調・不落対策の取り組みのうち「発注ロットの拡大」は、土木では6割超に当たる41団体が取り組んでいた一方、建築・機械は29団体で半数以下にとどまった。
「見積を積極的に活用した積算」は、土木が29団体、建築・機械が20団体で、いずれの工種も導入は低調だった。
「等級要件の緩和」は、土木で46団体、建築で40団体、機械で36団体となり、いずれも半数を超えた。「地域要件の緩和」は土木が37団体、建築が34団体、機械が30団体で、工種ごとの差は小さかった。同種工事の実績要件や、実績に関わる発注機関の緩和についてはいずれの工種も2〜3割程度だった。
個別の課題に応じた主な取り組み事項を見ると、技術者不足に対して「技術者要件の緩和」を取り入れている団体が多かった。具体的には、現場代理人の常駐義務や、技術者の専任要件の緩和があった。
発注時期の偏りを認識し、「発注・施工時期の平準化」に取り組む団体も多かった。債務負担行為や繰越明許の活用、発注見通しの臨時公表や公表回数増を実施していた。
積算関係では実勢価格の反映や、遠隔地からの労働者確保や資材調達に要する費用の計上といった取り組みが具体例に挙がった。入札制度面では、1者応札の取り扱いの緩和や再度入札の複数回化、2件の工事をまとめて入札する合冊入札を取り入れている自治体があった。
提供:建通新聞社