2024/09/10
建設トップランナーフォーラム「DXが地域建設業の未来を拓く」H
国土学総合研究所の大石久和所長は、第18回建設トップランナーフォーラムに参加した各社の発表を振り返り、「一言で言って非常に挑戦的」と総括した。「地域の建設業が新たな技術を建設産業に持ち込み、より働きがいを持ち、効率的に仕事ができるように努力している」と評価した。
大石氏は「地方に雇用の場を確保する、地方の若年層が地元で働ける環境をつくる、そのために挑戦を続けている」と地域の建設業の想いを代弁。さらに、「インフラ整備によって人々が暮らしやすい環境をつくる、という強い気持ちもあるはずだ」と続けた。
一方で、政府のインフラ整備や予算編成に対する姿勢が「地域の建設業のこうした努力を無にするものだ」と批判。大石氏は「なぜインフラを整備するのか。より人々の経済活動を効率化し、国内総生産(GDP)を高めるため」と強調した上で、「それが結果的に税収を上げることになり、好循環になる」と結論付けた。
日本のGDPを海外と比較すると、「約20年前の1995年と比べ、米国は3倍、英国は2・57倍、ドイツは1・79倍になっているが、日本はたったの1・02倍。税収もそれだけしか増えていない」という。
その上で、「税収が増えないから、政府は公共投資を抑制せざるを得ない」と続け、各国の公共投資が「米国は2・5倍、イギリスは4・1倍、ドイツは1・94倍に増えているが、日本は0・64倍に縮小している」とした。
大石氏は「これが経済成長の足を引っ張っている」として、「地方を住みやすい環境にする、経済を成長させる、DXによって仕事を効率化する。政府はこうした地域の建設業の努力を応援しなくてはらない」と語気を強めた。
第18回フォーラムの実行委員長を務めた斉藤井出建設(北海道)の斉藤和之社長は「限られたリソースを駆使しながら、必死にDXに取り組んでいる中小建設業は少なくない」と述べた上で、「生産性向上、働き方改革、担い手確保といった課題を解決する手段として、これからも歩みを止めてはならない」と参加者に呼び掛けた。
次回の建設トップランナーフォーラムは2025年6月20日に都内で開催する予定だ。
(地方建設専門紙の会)